「電話が苦手」を克服する! 電話対応研修超基礎講座 第3回

2024年8月号 <「電話が苦手」を克服する! 電話対応研修超基礎講座>

悠稀智惠

基礎編

第3回

タイミングよく具体的に指導しよう
Z世代を育てる5つのポイント

必要な知識を伝える集合研修と異なり、1人ひとりの特性も考慮して接する必要がある「フィードバック」は高度なマネジメント業務の一つだ。時間をかけて行っても、フィードバックしたことがきちんと響かないと、人材が育たない。今回は、フィードバックの際に注意すべきポイントと、Z世代の特徴を踏まえた適切な接し方について解説する。

PROFILE
Chie drama studio合同会社 代表
悠稀智惠
舞台女優歴15年、オペレーター歴10年の経験を生かし、コールセンターやサービス業での電話・接客・営業販売における人材育成を行う。やり方とあり方の両面から客単価アップのコンサルを得意とし、女優ならではのシアターゲームを盛り込んだ実践型研修を開発。

 オペレータの育成で、最も重要なのがフィードバックの仕方と関わり方だ。今回は、フィードバックを行う際に注意すべきポイントと、Z世代への関わり方について説明する。

 フィードバックの際に注意すべきポイントは、5つある。(1)具体的なフィードバック、(2)バランスの良い建設的なアプローチ、(3)適切なタイミング、(4)相手への尊重、(5)成長と学びの文化だ。

 具体的なフィードバックは、曖昧なフィードバックよりも受け取りやすく、改善のための方向性を提供しやすい。具体的な例や行動に関する情報を提供することを心がけることが重要だ。

 次に、バランスの良い建設的なアプローチもポイントになる。フィードバックには肯定的な要素と改善すべき点の両方を含むことが大切だ。成果や強みを認める一方で、改善のための領域や問題点も指摘することが重要である。改善のための具体的な提案やサポートなど建設的なアプローチを提供すると、受け手がフィードバックを受け入れやすく、改善に向けて前向きな姿勢を保つことができる。

 フィードバックを行う際のタイミングも重要だ。問題が発生した直後や成果が出た直後など、関連する出来事の直後にフィードバックを行うこと。このタイミングでのフィードバックが最大限に効果を高めることができるのだ。

 フィードバックを提供する際には、相手の感情や意見を尊重することが大事だ。非難や批判的な表現を避け、相手の立場や視点を理解しようと努めることだ。

 フィードバックを受け取ることが成長と学びの機会であるという文化を育成することも重要な要素だ。フィードバックを受け入れやすい環境を作り、受け手が積極的にフィードバックを求め、受け入れることができるよう支援することだ。

 これら5つのポイントを考慮することで、効果的なフィードバックを提供し、オペレータの成長や改善を促進できる。

おもいやりを示そう

 次に、電話が苦手なZ世代への関わり方とフィードバックの仕方について解説する。

 図1に「避けるべき関わり方」をまとめた。まずZ世代はテキストメッセージに慣れており、直接的な会話に不慣れな傾向にある。「目立ちたくない」「競争したくない」「失敗したくない」という気持ちが強いのも特徴である。そのため、人前で叱られることも褒められることも苦手だ。自分で決定することを避けたがり、曖昧な指示で主体性を促されても動かない。昔のような「これくらいわかるだろう」という阿吽の呼吸は、一切通用しないと思った方が良い。

図1 避けるべき関わり方
図1 避けるべき関わり方

 威圧的にならない、一方的にならない、否定的にならない関わり方が必要である。必要性を感じない仕事を強く嫌うこともZ世代の特徴の一つだ。そもそも仕事に必要ではないものは存在しないが、必要性を実感できていない場合は、それを理解させるステップが必要だ。

 自主性を促す場合は、曖昧なアプローチを避けることにも注意したい。そして、肯定表現での対話を心がけることだ。例えば、否定的な質問ではなくポジティブな質問にする、過去を問うのではなく未来を考えさせる質問にする、などがポイントになる。自分の行動に対するリアクションを気にする傾向も強いため、感謝やフォローも忘れてはならない。

 参考に具体的な伝え方の例を図2に示したので、ぜひ活用してほしい。

図2 伝え方の例
図2 伝え方の例

 このような関わり方をするためには、管理者のあり方とオペレータの受け入れる姿勢の両方が必要だ。

 40代・50代の管理職から「面倒くさい」「なぜ、そんな気を遣わなければいけないのか」という声が、度々聞こえてくるのだが、本来の人間関係の原理原則を考えてみてほしい。

 人間関係が破壊する習慣は、「批判する」「責める」「文句を言う」「ガミガミ言う」「脅す」「罰する」「自分の思い通りにしようとして褒美で釣る」の7つだ。そして、人間関係を構築するのは、思いやりを示す7つの習慣である。「傾聴する」「支援する」「励ます」「尊敬する」「信頼する」「受容する」「意見の違いについて常に交渉する」という、7つの習慣に基づいてアプローチすることで、相手の心に内発的モチベーションが起きやすくなる。具体的には、わくわく感や楽しい感情、成長実感、達成感だ。この内発的モチベーションが湧き起こると、自立性や主体性も湧きやすくなる。

 このアプローチをテクノロジーに慣れているZ世代には、テクノロジーを活用して行うのは効果的だ。知識やスキルをeラーニングで習得し、フィードバックをシステム上で行う。フィードバックする側とされる側、双方の負担も削減できる、新たな育成方法を試してみるのも良いだろう。

2024年07月20日 00時00分 公開

2024年07月20日 00時00分 更新

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