ベネッセコーポレーション(岡山県岡山市、岩瀬大輔代表取締役会長兼社長、以下ベネッセ)は、村田製作所(京都府長岡京市、中島規巨代表取締役社長)と共同で実施した「従業員の学びと組織の成果」の関連性に関する結果を発表した。
ベネッセのラーニングデザイン部部長、内木場 絵理氏は、同同社が米国Udemy社と包括的業務提携契約し日本市場におけるパートナーシップを結んだ2015年3月以降、10年間の歩みについて紹介。当初は個人向けのサービスとして開始したが、現在では会社の研修に用いられるなど、法人、行政機関まで拡がりをみせている。また、iOS開発、Python、生成AIなど、トレンドが変化していることも併せて説明した。
今回の共同調査では、「組織がいかに個人の学びを支援していくか」「個人の学びをいかに組織の中に取り入れていくか」という観点で実施。マーケティング統括部データ戦略推進責任者大塚 卓氏は「個人の業務成果が組織全体の成果に結びつくためには、組織的な支援が必要」という仮説に基づいて実施した、業種別組織における従業員の学習意識調査の結果について説明。業種(IT/情報・通信業/銀行・証券業/コンサル/製造業/保険業)ごとに最適なアプローチがあることを示唆したうえで、「企業が個人の学習を支援、学んだ知識を頻繁に活用できる機会を設けることが重要」と強調した。
続いて、ラーニングデザイン部研究責任者およびベネッセ教育総合研究所研究員佐藤徳紀氏は、組織を1つのまとまりとして見立てたときに、その組織が変化することを指す
「組織変化(組織学習)」の概念を用いながら、個人の学びが組織の変化にどう繋がるのか、関連性を調査した結果を共有。なお、組織変化の5つの構成要素を次のように挙げた。
1.情報獲得(個人の知識獲得)※同調査では信憑性の観点から除外
2.情報分配(組織への共有)
3.情報解釈(組織での実践フィードバック)
4.情報統合(組織での共通理解)
5.情報記憶(組織での形式知化)
調査の分析結果は次の通り。
1.組織における知識の共有や活用、蓄積が「組織成果」につながる
組織学習は組織成果、とくに情報分配、情報解釈、情報記憶との関連が確認され、それらを促進することで業績向上や新しいビジネス創出につながる可能性がある。
(出典:ベネッセ)
2.「心理的安全性」が学びの推進に寄与
組織学習の関連要素として「学習推進(スキル獲得についての個人の意識や組織の取り組み)」「業務成果(学習結果を個人の業務や改善に生かせたか)」「心理的安全性」との関係を調べた結果、「失敗しても問題ない」といった心理的安全性が確保されている場合、組織学習が促進される可能性が高いことがわかった。また、個人が学びを継続し、その学びを組織の成果に結びつけるためには、次の3要素が重要であることも判明。
1. 学習期待:職場や上司から新たなスキル獲得への期待があること
2. 学習サポート:会社や職場が学びをサポートする環境を提供していること
3. 学習継続意向:個人がスキル獲得のための学びを継続する意思を持っていること
3.「ラーニングカルチャー(学びの文化)」が組織の未来を切り開く
個人の学びを組織的な成果に結びつけるためには、学びを共有し、活用する文化(ラーニングカルチャー)の醸成が重要で、学びの成果を共有する場の設置や、社員同士が交流できるコミュニティの支援が有効。一方で、学習促進のために実施している施策が、必ずしも組織の変化につながっていない可能性があることも指摘した。
佐藤氏は、「個人の学習を組織に広げ、組織変化を支援することでチームの問題解決行動や組織制度の創出に繋がる。そのためには、組織が個人の学びを推進しながら、学びの成果を共有し、それを活用、学んだスキルを共有・議論する場を設けるなどの施策を行うといった組織文化、いわゆるラーニングカルチャーの醸成が必要」と強調した。
2025年04月18日 14時53分 公開
2025年04月18日 14時53分 更新
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