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コールセンターの「2025年重大ニュース&2026年市場予測」――期待と不安に揺れたAIエージェント“元年”

 月刊コールセンタージャパン編集部は、2026年2月、購読者向けにオンラインセミナーを開催した。
 テーマは月刊コールセンタージャパン2月号の巻頭特集、「2025年重大ニュース&2026年市場予測――期待と不安に揺れたAIエージェント“元年”」。CXMコンサルティング 秋山紀郎氏をゲストに招き、リックテレコムの石川ふみが対談した。

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 本セミナーでは、2025年のコールセンター/CXM領域における重要トピックを振り返るとともに、2026年に向けた市場の方向性について議論した。

 まず2025年の大きな潮流として挙げられたのが、生成AIの急速な普及だ。
 「コールセンター白書2025」によれば、VOCの要約やメール対応文章の生成、などでの生成AI活用が多いことがわかる(図1)。これについて秋山氏は、「活用が“コスト削減”に偏重している」と警鐘を鳴らす。応対後処理(ACW)の削減や業務効率化といった短期的な成果は見えやすい一方で、それだけでは継続的な価値創出につながらないケースが多い。

図1 コールセンターでの生成Ai活用目的(出典:「コールセンター白書」)


 秋山氏は、「生成AIは利用し続ける限りコストが発生するため、単純な削減効果では中長期的に投資対効果が見合わなくなることもあります。重要なのは“削減したリソースの再配分”。効率化によって生まれた余力を単なる負荷軽減で終わらせるのではなく、CX(顧客体験)向上やパーソナライズ強化といった付加価値創出に振り向けるべきです」と強調する。
 AI活用の本質はコストダウンではなく、顧客価値の最大化にあるということだ。

 2025年は、AI活用の「現場実装」が進んだ年でもあった。従来は一部の先進企業に限られていた取り組みが、幅広い企業に拡大。一方で、活用が進むほどにデータ整備や運用設計、人材スキルといった基盤課題が顕在化し、単なるツール導入では成果が出ない段階に入っていることも浮き彫りになった。

 2026年に向けた展望として、秋山氏は「CX起点のAI活用へのシフト」をキーワードに挙げた。
 コスト削減にばかり目を向けたAI活用では、顧客ニーズにマッチしない強引な自動対応や無人対応チャネルのたらい回しといったマイナスの顧客体験の創出につながる可能性が高まる(図2)。

図2 AI活用で変わるCX


 AIを活用することで、従来のオペレータでは実現できなかったCXを新たに創造することが、自動対応のすそ野拡大を加速させるはずだ。そのためには、顧客接点データを統合し、個々の顧客に最適化された対応を実現することが欠かせない。AIを活用できる人材の育成や、部門横断でのデータ活用体制の構築こそが競争力の源泉となる。

 本セミナーでは、生成AI活用が“効率化フェーズ”から“価値創出フェーズ”へ移行する転換点にあることを示した。2026年は、AIを使って何を削減するかではなく、「何を生み出すか」が問われる年になるだろう。

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2026年04月14日 08時39分 公開

2026年04月14日 08時39分 更新

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