日常的に顧客との関係を築き、CXを向上する。従来の保険商品と一線を画す健康増進プログラム「住友生命Vitality(バイタリティ)」を展開するのが住友生命保険だ。入社時からIT部門に携わり、バイタリティの立ち上げに深く関与した岸 和良エグゼクティブ・フェローから、保険業界のDX、DX人材育成などを聞いた。
──長年、保険会社でITに関わってきたお立場から、金融や保険業のDXの現状をどの様に捉えていますか。
岸 保険会社の大きな特徴として、(1)健康診断の結果といった保有する顧客データのセンシティブ性の高さ、(2)商品のコモディティ化が著しい、(3)顧客と接する機会が決して多くはない──などが挙げられます。(1)に関しては、どうしても管理工程が煩雑になるため、デジタル化は正確さを高める意味でも必須です。(2)は、生き残るためには付加価値商品が必要と、デジタルはその手段として有効。(3)は、契約時や更新時以外の接点が設けにくいことから、“日常使い”をしてもらえるプロダクトやサービスの提供には、デジタルは欠かせません。
これらをまとめると、DXやデジタルとは、あくまでもビジネスを成功させる手段やツールであって、目的ではありません。(当社を含め)各社はこぞって、その目的を達成するためにDXを掲げ、差別化に乗り出している段階だと捉えています。
会員限定2024年09月20日 00時00分 公開
2024年09月20日 00時00分 更新