「生成AIが人の仕事を奪うことはないが、 “AIを使いこなす企業や人”に奪われる可能性は非常に高い」と警鐘を鳴らすのが、マイクロソフトのエバンジェリストでもある西脇資哲氏だ。氏は、生成AIにより変化する働き方、ハルシネーションリスクに対する考え方を含め、日本企業に求められる“パイオニア精神”の重要性を説く。
──生成AIが変えつつある世界の姿や、日本企業に急務の変革の中身についてお聞きします。まずはご経歴を教えてください。
西脇 日本オラクルでプロダクトマーケティング業務を経て2009年にマイクロソフトに入社。現在は、マイクロソフト製品すべてをカバーする、唯一の日本人エバンジェリストです。ChatGPT登場以降、さまざまな企業でAI人材教育なども行っています。
──生成AIは「何がすごい」のでしょうか。また、登場により「何が変わった」、あるいは「変わる」のでしょうか。
西脇 端的に言うと「人の文章を理解し、応答すること」「私達のスキルをはるかに超えたさまざまな“情報言語処理能力”を簡単に手にできるようになった」ということです。
従来型のコマンドやプログラムで動くITツールは、人の言葉を理解していたわけではありません。その証拠に、コマンド(命令文)を一文字間違えただけでエラーが出て、まったく機能しませんでした。ところが、生成AIは人間が日常的に使う自然言語を理解し、多少の間違いがあっても的確に回答します。後者については、例えば、文章の要約や意訳、絵を描くなどスキルが必要だった作業を、簡単な指示だけでできるようになりました。こうした進化によって働き方にも、変化が起きはじめています。人にお願いしていた業務や自分がやるべきだった業務は生成AIに指示すればでき、従来、発注や業務にかかっていた時間とコストを削減できるようになったわけです。これは、本当に飛躍的な進化です。
── 一方で、それをまだ理解できていない方や企業が多いのも実情です。
会員限定2024年08月20日 00時00分 公開
2024年08月20日 00時00分 更新