Editor's Eye 

CS News Watch(4)自治体の生成AI活用

注目される「市民体験(CX)」施策

先週のCS関連ニュースのなかから、興味・関心を惹いたものを独自にピックアップする「CS News Watch」。4回目の今回は、「自治体のAI活用」をとりあげます。

自治体の生成AI活用がおもしろい。
先般、NECが千葉県松戸市と「デジタルまつど共創協定」を提携と発表した。

同市の業務プロセスのデジタル化がはじまったのは2007年。以降、NECと二人三脚で自治体DXを推進し、その実績に基づいた協定とのこと。2026年3月、その取り組み第一弾としてデジタル松戸市ポータルアプリ「デジタルまつどポータル」を開始予定だ。ベースになっているのは「NEC住民ポータルサービス」で、「自治体が提供する情報・行政サービスを集約し、かつ、興味・関心や各種データに基づいて住民ひとりひとりに最適化されたサービスを提供するもの」という。松戸市の地図をもとにした仮想空間「メタまーつ」や、手続き案内ナビゲーション、松戸市オンライン申請システムなど、松戸市が現在提供しているさまざまな行政サービスの入り口となるアプリになる予定。記者も松戸市民なので、大いに期待したい。

すでに同様の取り組みは他の自治体でも進んでいる。一例を挙げると東京都町田市で、「AIナビゲーター」がチャット形式でオンライン手続きや情報提供を行っている

この取り組みを支援したのはNTTデータで、昨年末、GenerativeAI Japan(宮田裕章代表理事)が主催する「生成AI大賞」で優秀賞を受賞している。トップ画面は以下で、なかなか振り切ったデザインと思う。

デジタルまつどポータルは、公表されている画面写真を見る限り、町田市よりは少し固い印象。これは好みが分かれるところだろう。

自治体だけでなく、国税庁は確定申告の時間外対応にTACTのAIコンシェルジュを導入。自治体や省庁などは、コロナ禍で次々にチャットボットを導入した実績があるので、この手の取り組みは今後、さらに加速するだろう。総務省の調査によると、主に役所内での活用ではあるものの、「生成AIを導入済みの団体は、都道府県で87%、指定都市で90%、その他の市区町村で30%」となっている。都道府県と指定都市はここ1〜2年で100%に達しそうだ。

こうした市民向けの活用は、おそらくスマホアプリを軸に、チャットボットやボイスボットになるだろうが、CX(Citizen Experience:市民体験)向上に向けた最大の課題は「シニア対応」だと思う。
平日の昼間、市役所や県庁に行ってみると一目瞭然ではあるが、来訪者は圧倒的にシニア層が多い。生成AI活用の背景には、忙しい職員の業務効率化や人手不足対策がある。問い合わせや住民対応を減らすことでそれを実現するには、実際に問い合わせし、来訪するシニア層に生成AIを使ってもらうことが重要だが、これは言うほど簡単なことではない。
これは多くのコールセンターと共通している課題で、「呼量削減のためにチャットボット導入」という事例は多数あるが、「主に電話してくるシニア層フレンドリーなUIになっているか」という点では大いに疑問が残る。

シニアのデジタルシフトは、コールセンターなどの顧客接点だけでない、社会課題だ。おそらく、カギとなるのは「音声」の使い方。視力に問題が生じる傾向が強く、かといって大画面で操作できるPCに苦手意識を持つシニアにとって(もちろん、今後のシニア層は会社で使い込んだ人が増えるが、起動→ブラウザを起動→サイトにアクセスして操作というプロセスは面倒だ)、やはり「電話」との親和性は高く、音声の自動対応こそが現段階では最も可能性の高い手段だろう。

とくに自治体のAI活用は、シニア対応が大きな効果を発揮しやすく、実はプロジェクト進行が意外と早い(自治体によるだろうが)。ベストプラクティスの登場に期待したい。

2026年02月09日 11時13分 公開

2026年02月09日 11時13分 更新

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