先週のCS関連ニュースのなかから、興味・関心を惹いたものを独自にピックアップする「CS News Watch」。5回目の今回は、「ボイスボット事例」を取り上げます。
音声(電話)の顧客対応に生成AIを活用する事例が増えているようだ。
サンメディカル船橋クリニック、『DXでんわ』導入で電話対応の労力を90%削減
SBI新生銀行、Bright 60専用窓口に音声AIを導入
ほんま内科・循環器内科クリニック、開院に合わせ『DXでんわ』を導入
パナソニック、対話型音声AI SaaS「アイブリー」を導入
メビウス製薬、対話型音声AI「アイブリー」を導入し顧客対応体制を刷新
リリースは昨年末だが、大手企業の取り組みとしては三井住友カードの事例も注目されている。
いずれもいわゆる「ボイスボット」である。ほとんどの事例企業の使い方を整理すると、(1)用途(コンタクトリーズン)を限定、(2)夜間など有人稼働時間外での一次受付、(3)比較的対応がマニュアル化されている受付業務が多い業種――で、つまりは(1)の使い所を絞り込むプロセスが肝要ということだ。
現段階のボイスボットの欠点をまとめると図の通りで、要は「まだ対応品質が有人対応にはほど遠く、データ連携が不十分なままだとできることにも限度がある(これはテキストチャットボットも同じ)」ということだ。
しかし、コールセンター運営企業の利用意向は強く、「コールセンター白書2025」に収録した「導入予定ソリューション」を聞いた結果では30.3%が「生成AI対応型ボイスボット」と回答、回答比率は2番めに多い。
ボイスボットは、日本の人口構造を考慮に入れると、大きな可能性を秘めている。同じく「コールセンター白書2025」で収録している「コールセンター利用者調査」においては、回答者として募集した消費者の約59%を「60代〜70代以上」が占め、50代まで入れると8割を超える。

つまり、企業の問い合わせ窓口に電話する消費者の多くは高齢者が占めているということで、これは取材の際も同じ傾向を口にする企業が大半を占める。
高齢者の行動特性として、「音声(電話)」との親和性の高さはよく指摘されることだ。視力に問題を抱えるケースが多く、とくにスマホの問い合わせフォームなどの操作は苦痛を伴う傾向がある。しかも、インターネットネイティブである若年層に比べると、電話はコミュニケーション手段として圧倒的に使い慣れている。
しかし、コールセンター運営企業側の事情としては、電話対応要員の確保はもはや無理難題に近いレベルの課題。自動化手段として、コロナ禍でチャットボットが一気に普及し、それを「(社会に)受け入れられた」として継続する企業は多いが、あれは「やむを得ず使っていた」というのが多くの高齢者のホンネだろう。というより、「本当にチャットボットで問題解決できていたのか?」という検証は圧倒的に不足している。そのカスタマーエクスペリエンス(CX)/顧客満足の検証抜きに、一気に電話窓口を減らし、半強制的にチャットボットやFAQの利用を強いる企業が急増している気配が強いのが現状だ。
「ボイスボットでできる範囲の対応」を実践、検証、拡大することは、企業の人手不足、高齢者を中心とした顧客のCX向上に貢献する可能性は高い。2026年は、「音声系AI」の利活用が拡大する年になることに期待したい。(矢島)
2026年02月16日 14時22分 公開
2026年02月16日 14時22分 更新