東京大学大学院工学系研究科の松尾・岩澤研究室(松尾 豊教授主宰)は、PKSHA Technology(東京都文京区、上野山 勝也代表取締役)、米Anthropicと協業すると発表した。学術・技術・産業の3視点を統合し、AIが日本の雇用、産業、経済、教育に与える変化を継続的に測定する基盤『Japan AI Index』を共同で立ち上げる。2026年度秋に初回のレポートとダッシュボードを公開する予定だ。
背景には、労働人口の減少が進むなか、AIによる生産性向上が産業競争力の維持に欠かせない課題となっている事情がある。一方、AIの普及が雇用や働き方、産業構造に与える変化を客観的なデータで把握できる観測基盤は、国内に存在していなかった。
『Japan AI Index』は、2系統のデータを統合する点を特徴とする。1つは、AnthropicがAI対話サービス『Claude』の匿名化した利用統計をもとに公開している『Anthropic Economic Index』を含む、LLM(大規模言語モデル)の利用統計である。もう1つは、業界別の生産性や職業データ、就業者数など、国内の経済・雇用・教育に関する公的統計だ。
両データを突き合わせることで、産業ごとのAI利活用の進展度合いや、AIと人が担うタスクの役割分担の変化、AI活用度とGDP・雇用・賃金の関係などを学術的手法で分析する。職種別の生産性変化や、AI時代に求められる人材・スキル像の検討にも活用する。
松尾研究室は、中立的な分析設計と統計分析、ダッシュボードや年次レポートの発信を主導する。Anthropicは『Claude』の無償提供や利用統計、知見の共有を担う。PKSHAは4600社を超えるAIソリューションの導入実績に基づく産業界の知見を提供し、参画企業の拡大を進める。
3者は、政策や経営、人材育成をめぐる議論をエビデンスに基づくものへ転換し、人とAIの協働を促す観測基盤として浸透させることを目指すとしている。
左から、PKSHA Technologyの上野山勝也代表取締役、東京大学大学院工学系研究科の松尾 豊教授
2026年06月04日 19時07分 公開
2026年06月04日 19時07分 更新