シエラ・テクノロジーズ・ジャパン

顧客対応におけるAIエージェント活用への期待は高い。
ただし、導入においては、定型的かつ簡単な問い合わせへの“ナレッジ(FAQ)回答”に絞り、成果とリスクを確認しながら広げるスモールスタートを選ぶケースが多い。これに対し、「ナレッジ回答と同時に、手続きを実行する領域の簡単な処理も検証しておくほうが、活用を広げやすい」と指摘するのは、シエラ・テクノロジーズ・ジャパンの森川馨太氏だ。
同社は、エンタープライズ特化のカスタマーサポートAIエージェントを提供する米Sierra Technologiesの日本法人だ。日本市場への進出にあたり、国内で大企業向けAIコンタクトセンターソリューションを提供してきたOPERA TECHを買収して、日本における実装力を強化。森川氏らOPERA TECHのメンバーを中心として日本事業を展開している。
先述した森川氏の指摘は、これまでの自動応答の延長線上でAIエージェントを捉えることへの問題提起だ。業種によって割合は異なるが、多くのコンタクトリーズンは、顧客情報の変更、申請受付などの手続きが発生する。「ナレッジ回答に限定して始めると、回答精度やFAQの網羅性の検証に議論が集中し、手続き実行に必要な業務フローの整理や基幹システム連携、本人確認プロセスの設計が後回しになりやすい」(森川氏)。適用範囲の拡大が進まなければ、投資対効果も限定的になりやすい。
同社のAIエージェントを構築・運用するプラットフォーム『SIERRA』は、企業・業務に合わせたAIエージェントを作成できる。特徴は、CRMや基幹システムなど個社ごとのシステムと接続し、顧客情報の照会・変更、申請受付といった後続処理まで実行対象にできる点だ。本人確認など厳密な工程はロジックで制御しつつ、あらかじめ設定した「ゴール」と「ルール」に基づいて、AIエージェントが必要なナレッジ、業務フロー、接続先システムを選択する。
運用をサポートする機能も充実している。例えば、自然言語でAIエージェントを作成できる「Ghostwriter」や、AI同士の会話による大量のテストケースの検証、オペレータへの転送が多い場面や失敗しやすい処理を特定できる会話分析などがある。これらを活用して、ナレッジ回答とアクション実行の両方を初期段階から検証することで、実装上の課題を早期に把握し改善していける。
「今後、簡単な問い合わせはAIが担い、人は複雑な相談や感情に寄り添う対応に集中するでしょう」と予測する森川氏。その時、現場に負荷をかけることなく、改善サイクルを高速に回せることが、人とAIのパフォーマンスを最大化する環境の土台となる。
会員限定2026年07月20日 00時00分 公開
2026年07月20日 00時00分 更新