市場創出以来、最大の特需は過ぎ去った。コロナ関連需要が収束した現在、BPOベンダー各社の経営は決して楽ではない。人手不足を背景に一定の需要拡大は期待できるものの、中長期的に見ると主力である人材供給は自動化のトレンドを受けて縮小が確実。主要各社は、プラットフォーマーやコンサルティングを含めたビジネスモデルの転換を急いでいる。
コールセンター向けBPO市場創出以来、最大の特需は過ぎ去った。2023年度の主要各社の売上高・利益はともに、ごく一部を除いて前年度を下回っている。
各社は、新たな需要拡大に向けてさまざまな打ち手を探っているが、反動をカバーするほどの効果は見られない。もともと、コールセンター向けのBPO市場は、その歴史をたどると古くはマイライン、年金不払い、国政選挙時の世論調査など、数多の「特需」に支えられて成長してきた。具体的には、「期日までに数百人、揃えてくれ」というニーズに対応する「人工(にんく)」ビジネスモデルによって市場が成長してきた。コロナ対応は、市場創出以来、最大の特需だったといえる。
今後の焦点は「降って湧いた特需ではない、自ら作り出すニーズと市場」の発掘にある。主要各社は、従来の「1人あたり/1時間あたり/1案件あたり」というビジネスから脱却すべく、BPOの適用範囲の拡大に取り組んでいる。
具体的には、(1)親会社、あるいはITベンダーとの協業によるクラウド基盤、生成AIなどの最新IT駆使したプラットフォーマー、(2)VOC活用をはじめとしたコンサルティング、(3)(1)(2)と、人材を含めた現場オペレーションを抱き合わせて提供できる総合力──の訴求だ。
トップ5社のキーマンが口を揃えたこの新戦略に、どの程度の活路を見出すことが可能なのか。また、コロナ期間中に相次いださまざまな不祥事(データ改ざん、過大請求、大規模情報漏えい)からの信頼回復の手段は──主要5社の戦略を検証する。
キーマンインタビュー
2024年09月20日 00時00分 公開
2024年09月20日 00時00分 更新