CCaaSソリューション「Genesys Cloud CX」を展開するジェネシスクラウドサービス(東京都港区、ポール・伊藤・リッチー社長)は、日本企業のCX領域でのAIの利用状況に関する調査結果を発表した。同調査は2024年6月に、社員数が500人以上の企業に勤務する係長以上の意思決定者300名を対象に実施された。
AIについては、すでに57.4%が「導入している」と回答。代表取締役社長のポール・伊藤・リッチー氏は、「AIの導入に対する抵抗はそれほど高くないのかもしれません」と所感を述べた。
AIに期待する領域については、「応答スピードの短縮や迅速なサービス」(54.7%)、「24時間365日の対応やセルフサービスの拡大」(51.0%)など、顧客対応業務の効率化が上位を占めた(図1)。対して、生成AIに対する期待としては、「顧客理解(顧客フィードバックの即時分析と適応)」が54.7%ともっとも多く、次いで「顧客対応の自動化(チャットボットなど)」(41.0%)、「対応後の入力作業など、後処理業務の効率化」(39.3%)と続いた。「生成AIの活用をきっかけに、顧客の感情を正確に理解し、パーソナライズされた顧客体験を提供するためのAI活用にシフトする可能性があるといえます」(伊藤氏)。
一方で、AI導入に関する課題も浮き彫りになった。課題と懸念点でもっとも多かったのが、「テクノロジーを理解するスタッフの不足」(44.3%)で、AIを導入するうえでの大きな障壁となっているといえる(図2)。次いで、「データやセキュリティーの懸念」(36.0%)、「導入コストが高い」(34.7%)、「組織内の文化の抵抗」(27.7%)と続いた。
CX領域で、AIで代替不可能な有人サポートが必要な業務について聞いたところ、約半数が「信頼の構築」「顧客の立場や感情の理解」と回答(図3)。AIがCX向上を図る手段となり得る一方で、補いきれない部分があるという認識は強いようだ。
今回の調査結果から、CX戦略での生成AI活用に対して、顧客の感情を理解することが重要視されている点が明らかになった。伊藤氏は、「日本企業は、生成AIを活用してお客様の感情を把握することで、お客様との深いつながりを育めるでしょう」とまとめた。
2024年09月09日 17時04分 公開
2024年09月09日 17時04分 更新