生成AIを活用した経営/業務改革には、過去のビジネス経験値を活かしつつ、新しい発想力が求められる。ECサイトの構築、ブランディングからカスタマージャーニー設計までの豊富な経験を踏まえて生成AI活用を指南する、ミリモルホールディングス代表・河野貴伸氏に、CSの現場における生成AIとの向き合い方を聞いた。
──生成AIの分野以外にも、豊富な経験をお持ちですね。
河野 ECサイトの構築やブランド支援に従事し、2013年にブランディングエージェンシー「フラクタ」を創業しました。その後、2021年に東証グロース上場企業のグループに参画するかたちで事業を譲渡しました。さらに、2017年から約3年間、カスタマーエクスペリエンスの実践企業として知られる土屋鞄製造所のデジタル戦略担当取締役も務めていました。クラフトマンシップを大切にするブランドの中で、顧客接点の価値や、デジタルにおけるカスタマーサポート(CS)のあり方に深く関わった経験は、今も生きています。ブランド、そして顧客接点における体験価値をいかに創造するかに対し、真剣に向き合ってきました。
──その後、ミリモルホールディングス(MMOL.)を立ち上げて生成AI活用を指南されていますね。
河野 生成AIを中心とした業務支援、とくにCS領域での活用に注力しています。もともとEコマースでは、顧客の購買履歴などから商品やサービスをAIが分析し提示する「AIレコメンド」の手法がありました。フラクタではオンラインストアや実店舗の販売システムを構築・運営する「Shopify」を推奨していたこともあり、AIに触れて知見を蓄積する機会に早くから恵まれました。2020年代以降、AIの技術進化に強い可能性を感じ、企業の業務支援に取り組むことを決意しました。これまで複数の企業文化に身を置いてきた経験から、現場と経営の意識ギャップや部署間の壁を打破し、“人”のポテンシャルに着目する重要性も痛感しています。生成AIのような新しい技術を扱うとき、こうした組織的課題をどう乗り越えるかが、導入の成否を分ける鍵で、今までの経験を還元できると思っています。
会員限定2025年06月20日 00時00分 公開
2025年06月20日 00時00分 更新