わたちゃんのかすたま~えくすぺりえんす 第121回

2025年3月号 <わたちゃんのかすたま〜えくすぺりえんす>

渡部弘毅

コラム

第121回

「ポジショニング」の日本語訳は?

 若い頃は、自分の立ち位置なんて考えたこともなく、ただイケイケどんどんだった、わたちゃんです。勢いだけでなんとかなると思っていたんですよね。でも、大人になると、ビジネスの世界では「自分のポジショニング」がいかに重要か、思い知らされるものです。

 マーケティング用語の「ポジショニング」とは、ターゲット市場において自社や製品を差別化し、競合に対して優位な位置を確立することを指します。つまり、自社の強みをどのようにアピールするかを戦略的に考えることです。そのためには、顧客のニーズや競合の強みと弱みを把握し、自社のリソースを適切に評価し、それに基づいた実行可能な計画を立てることが重要です。ポジショニングは、単なる物理的な位置づけではなく、顧客の心の中で自社がどのように認識されるかを考慮する必要があります。市場にはさまざまなニーズが存在し、それぞれの顧客層に対してどのように自社が応えられるかを明確にすることが求められます。また、競合の動きや市場の変化にも目を向け、迅速に対応できる柔軟性を持つことも重要です。

 ポジショニングを日本語に直訳すると「位置決め」「位置調整」になり、どれもしっくりきません。しかし、相応しい日本語訳があります。それは「分(ブン)をわきまえる」です。これは、自分の能力や立場をしっかりと理解し、そのうえでどの位置に立つべきかを見極めるという意味です。この考え方は、自社の強みと弱みを正確に認識し、それを基に最も適した市場ポジションを見つけることにつながります。競合と同じ土俵で戦わず、自分たちが本来の力を発揮できる分野に焦点を当てることが成功へのカギとなります。さらに「分をわきまえる」ことにより、過剰なリソースを割くことなく、効率的に自社の価値を最大化できます。自分たちの位置を正確に理解し、適切に選択することで、持続可能な成長と競争優位を確立することが可能となります。そして、それは顧客に対しても明確なメッセージを伝え、自社がどの分野でどのような価値を提供できるのかを明示することにもつながるのです。

 つまり、「分をわきまえたポジショニング」をすることで、自社の実力を無視して無謀な目標を掲げるのではなく、自社の強み・弱みを理解し、それに基づいて市場における最適な位置を見つけ、持続可能な戦略を立てることが可能になります。

 ということで、若い頃の自分に「分をわきまえろ」と言っても耳を貸さなかったでしょうけど、そろそろ自分自身のポジショニングも定義してみたい。自分がどこに立つべきか、どんな価値を提供できるのか、ちょっと真剣に考えてみるのも悪くないかもしれません。

 ただ、あんまり真面目に考えすぎて、「キャラ変わった?」なんて言われないように気をつけないと。

図 分をわきまえたポジショニング
図 分をわきまえたポジショニング
PROFILE
ISラボ 代表
渡部弘毅
職業:顧客経験価値にこだわる戦略立案&業務改革コンサルタント
過去勤めたことのある企業:日本ユニシス、日本IBM、日本テレネット
著書『ファンをつくる顧客体験の科学 「顧客ロイヤルティ」丸わかり読本』(2023年11月、リックテレコム刊)
週末の過ごし方:
<ケース1>隅田川あたりをぶらぶら散歩して浅草で飲んだくれたあと銭湯で汗を流す
<ケース2>スポーツジムでヨガレッスンを受けて汗を流す

2025年02月20日 00時00分 公開

2025年02月20日 00時00分 更新

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