コラム
第120回
若い頃は、先例がないことにチャレンジしたいと思っていた、わたちゃんです。その頃は、失敗しても笑ってごまかせるという妙な自信を持っていました。
「官僚型組織」という言葉を聞くだけで、「もう時代遅れ」とか、「変化に弱い」といったネガティブな印象を持つ人が多いかもしれません。官僚型組織の弊害としてよく挙げられるのは次のようなものです。
まず、「先例がないから」という理由で新しいことを回避する姿勢があります。先例のないことに挑戦するにはそれ相応の準備とリスクマネジメントが不可欠なため、チャレンジ精神が減退します。次に「規則に示されていないから上司に確認しなければならない」という状況もよく見られます。確かに規則に基づいた行動は安全性を確保しますが、これが日常的に繰り返されると業務の効率が低下し、意思決定のスピードが落ちてしまいます。さらに「書類を作成し、保存すること自体が目的化してしまう」という問題もあります。書類の作成は重要ですが、その必要性を考えずにただ作成・保管するだけではリソースの無駄です。そして、「自分たちの業務・専門以外のことには関与せず、他の部署が関わると排除しようとする」というセクショナリズムの問題も存在します。部門間の連携がうまくいかないと、組織全体の成長が妨げられることになります。
ベンチャー企業の幹部たちが「最近、うちの会社も官僚的になってきたなあ」と嘆くことがあります。しかし、本当に官僚化が進んでいるのでしょうか。実際には多くの場合、「官僚組織化以前の問題で、これまで組織マネジメントがまったくなされていなかっただけ」というケースが見られます。つまり、組織が成長し、ようやく秩序や規律を持ち始めたということが多いのです。
官僚型組織やその運用は、企業が成長し規模が大きくなる過程で、日常業務をスムーズに行うために必要な側面もあります。例えば、業務の標準化やリスク管理、プロセスの効率化などは官僚型組織の利点です。これにより、業務の質を安定させ、トラブルを未然に防ぐことができます。しかし、問題はそれが行き過ぎることです。つまり、官僚化が進みすぎて組織が硬直化し、動かなくなる状態です。これは組織の寿命が尽きた「完了型」状態に等しく、避けなければなりません。
成長を目指す企業は、官僚組織の利点を生かしつつ、その行き過ぎを防ぐことが重要です。官僚的な規律は必要ですが、過度に強化しすぎると「完了組織」になりかねません。柔軟性と規律のバランスを保つことが、企業の持続的な成長にとって不可欠です。
ということで、人類みな兄弟。セクショナリズムを乗り越え、チャレンジマインドをもって成長していきたいものです。若い頃を思い出して「先例がない」ことにチャレンジしてみようかな、なんて思っています。

2025年01月20日 00時00分 公開
2025年01月20日 00時00分 更新