コラム
第119回
最近お気に入りの鮨屋に行く頻度が少なくなってきた、わたちゃんです。1年前までは毎週土曜の昼呑みで通っていたのですが、最近はスポーツジムのお気に入りのLALA先生のピラティスレッスンに参加することが多くなり、鮨屋の大将には申し訳なく思っています。
競合商品というと、同一ジャンルの製品やサービスが真っ先に思い浮かぶかもしれません。しかし、実際の市場において競合はそれだけではありません。とくに生活者の視点で彼らが持つ限られた資金や時間をどのように使うかを考えると、競合の範囲は大きく広がります。例えば、ゴルフが趣味の人が新しいゴルフクラブを購入しようとしている状況を考えてみましょう。同じスポーツ用品店の中で別のゴルフクラブが競合になると考えるのが通常ですが、実はその競合はまったく異なるジャンルの商品かもしれません。その人が子供のためにおもちゃを買おうと考えている場合、限られた予算内でどちらを優先するかが問題となり、ゴルフクラブとおもちゃが競合関係にあります。
また、炊飯器を新しく買い替えようとする時、その競合として考えられるのは、パン焼き機や電子レンジで簡単に調理できる白米パックかもしれません。同じ「料理をする」というニーズを満たす製品が、異なるジャンルであっても競合になるのです。
さらに、楽しい時間の過ごし方という視点でも、意外な競合が生じます。例えば、あるイタリアンレストランの競合が、実は近所の焼き鳥屋だったというケースです。消費者がどの飲食店に行くかを決める際、その日の気分や予算、時間の制約が影響し、異なるジャンルの飲食店同士が競合することも少なくありません。
また、遊園地が提供するエンターテインメントの時間は、映画館、旅行、さらには家庭用ゲーム機と競合する可能性もあります。同様に、自分磨きの時間も、英会話スクール、スポーツジム、マインドフルネス講座といった異なるジャンルのアクティビティが競合します。
このように、生活者のライフスタイルに注目し、彼らが何に時間やお金を投資するかを深く理解することが、競合商品を正確に把握し、効果的なマーケティング戦略を立てるカギとなります。限られた資源をめぐる争いがどこにあるのかを見極め、適切な施策を打つことが、成功への道を切り開くのです。
ということで、自分の場合は、土曜昼間の楽しく充実した時間を過ごす手段として、以前は「お気に入りの鮨屋で昼呑み」一択だった状況から、「お気に入りのLALA先生のピラティスレッスン」という強力な競合が登場し、大きくシェアを奪われた、ということです。
健康面を考えると今の状況のほうがいいし、鮨屋の大将には、LALA先生の写真を見せたら「こんな美人ならしょうがない。時間を譲りましょう!!」と納得してもらいました。これで、今後も昼呑み&運動を両立させた充実した土曜が過ごせそうです。
2024年12月20日 00時00分 公開
2024年12月20日 00時00分 更新