コラム
第118回
小学生の頃は「牛乳ビンのふた」集めに没頭して、見知らぬ地方で手に入れたふたをお宝として特別扱いしていた、わたちゃんです。孫が大事にしている、レアもののポケモンカードみたいなものです。
VOC活動とは、お客様の声を収集・分析・活用するサイクルを回すことです。この活動は、お客様のニーズやフィードバックを企業の成長や改善に生かすために欠かせないものです。しかし、同じ活動でも、マーケティング部門とカスタマーサービス(CS)部門では、その取り組み方に大きな違いがあります。
マーケティング部門では、活動が分析ありきで進められます。具体的には、経営課題に沿った仮説を立て、それに基づいて必要なデータを集めます。アンケートや市場調査などを通じて収集されたVOCは、仮説の検証に利用され、経営層への提言につながります。このプロセスは経営に受け入れられやすく、具体的な施策に結びつきやすいという特徴があります。
一方、CS部門のVOC活動は、収集ありきで進められます。CS部門では、コールセンターやサポート窓口に寄せられるお客様の声を適切にグルーピングし、経営課題や社内改善の視点でフィードバックします。しかし、この方法では、経営課題に直結しない提言も多くなりがちで、注目されないケースが少なくありません。また、CS部門の分析は定性的な内容が多く、共感性は高いものの、定量的な視点で会社を動かすまでの説得力に欠けることが多々あります。社長直轄で「お客様の声を聴こう」会議を実施している素晴らしい企業もありますが、活動が形骸化して長続きしないのも、この理由によります。
しかしながら、CS部門のVOCは、お客様が能動的に発言した生の声であり、非常に重要な資源です。これは、企業にとって宝の山とも言えるものです。
理想的なVOC活動の姿は、マーケティング部門とCS部門のやり方を融合させることです。具体的には、経営課題に沿った仮説に基づいた分析手法を考えたうえで、CS部門で収集したVOCを当てはめて一次検証や深掘りを行います。そのうえで、さらに定量的な視点でVOCを集めて仮説を検証し、経営課題に直結した施策を立案することが望ましいのです。
このような統合的なアプローチにより、企業はお客様の声を最大限に活用し、より効果的な経営戦略を実現できます。マーケティング部門とCS部門が連携し、双方の強みを生かすことで、VOC活動はより一層充実、企業の成長に大きく寄与することが期待されます。
ということで、今の自分のお宝はなんだろう? と思いましたが、最近は物欲がなくなってきたので、想い浮かぶものがありません。「友人関係」とか「日々の穏やかな暮らし」など、優等生的な答えはしたくないので、お宝探しをしたいと思います。
2024年11月20日 00時00分 公開
2024年11月20日 00時00分 更新