コラム
第115回
最近、研究会や勉強会が楽しくてしょうがない、わたちゃんです。終了後の飲み会が楽しいだけかもしれませんが、それ以外のモチベーションがあるはずです。
行動経済学研究の第一人者Dan Ariely氏の書籍『予想通りに不合理』(早川書房)には、社会的交流と市場的交流の違いについて解説されています。これら二つの交流形態は、参加者の動機付け、期待、そして行動に大きな違いを生み出します。
社会的交流は、親しみや信頼、尊敬といった人間関係に基づいて行われます。この交流形態では、金銭的な報酬よりもむしろ、互いの幸福や感謝の感情が重視されます。例えば、友人が引っ越しをする際に手伝いを提供するケースは、社会的交流の一例です。この場合、報酬としてお金を受け取るのではなく、感謝の気持ちや将来的な支援への期待が交流の根底にあります。
一方、市場的交流は、契約、価格、市場競争といった要素に基づきます。この交流形態では提供されるサービスや商品に対して明確な報酬が存在し、交換条件がはっきりしています。例えば、仕事の成果への給料、商品の購入、サービスの提供などです。市場的交流の場合、関係はより取引的であり、感情よりも効率と成果が重視されます。提供と対価のバランスが重要で、個人間の感情よりも経済的合理性が優先されがちです。
また、Ariely氏は、二つの交流のバランスを管理することが重要と指摘しています。例えば、職場で上司が労働後のビールを奢る場合、これが市場的交流(仕事の一部としての報酬)か、それとも社会的交流(友情や感謝の表現)かによって受け取り方が変わります。社会的交流を市場的交流で置き換えると、人間関係が希薄化し、モチベーションが低下する可能性があります。
また、企業のファンづくりにおいても同様です。ハイテク企業では、テクニカルサポートをユーザーが互いに提供するコミュニティが存在します。これらのコミュニティは、製品に対する愛情や専門知識を共有するファンによって運営されており、しばしば公式サポートよりも迅速で的確な解決策を提供しています。これは純粋な社会的交流の典型的な例です。一方、SNSで「いいね!」を押すとポイントがもらえるキャンペーンは、表面上はユーザー参加型の社会的交流のように見えますが、これは市場的交流の一形態です。こうした手法は、本来の社会的交流の精神とは異なり、長期的にはユーザーの信頼を損なう恐れがあります。
顧客との市場的交流を続けながら、同時に社会的交流の場を増やしていくことが、企業にとって真のファンを作り出し、持続可能なビジネスモデルを構築するカギとなるのです。
ということで、僕が研究会、勉強会で普段のコンサルワークと同じぐらい資料づくりに没頭しているのは、社会的交流の場が楽しいからというわけです。カミさんからは「もっと市場的交流増やして稼いでこい!」と尻をたたかれていますが、人生楽しい方が良いのです。
2024年08月20日 00時00分 公開
2024年08月20日 00時00分 更新
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