顧客からのカスハラ、コンタクトセンター内部におけるパワハラ、セクハラ、そしてハラハラ――。これらハラスメントの数々は、現場のオペレータ/SVの離職意向を強める。人手不足が深刻化する現在、センター運営に求められるのは「1人も辞めないマネジメント」だ。コールセンタージャパン編集長の矢島竜児がモデレータを務め、これまでに編集部が取材した事例や現場へのアンケート結果を紹介。香川総合法律事務所 弁護士で企業法務を専門とする香川希理氏、ハラスメント対策の講演や研修、コンサルテーションを展開するメンティグループ代表取締役の加藤貴之氏をパネリストに迎え、解決策や課題を議論した。
前半はカスハラにフォーカスし、矢島がコールセンターにおける現状と課題を解説。5割近いオペレータが「カスハラを受けた経験がある」と回答している一方で、カスハラを明確に定義しているセンターは30%程度で、「組織対応をルール化している」などの対策を講じているセンターは30%に満たないことを指摘した。「多くの場合はエスカレーションが主な対策で、その判断はSVに任されていますが、彼/彼女らの業務量が増加傾向にあるなかで、判断を仰ぐ時間があるのか疑問に感じます」(矢島)。
これに対し、香川氏はカスハラの定義(図)を提示。要求の内容と手段・態様の二軸で妥当性を判断する手法を解説したうえで、同氏が担当した2事例を紹介。香川氏は「要求内容の妥当性を応対している部門だけで判断するのは現実的に難しい。法務部などの他部署、顧問弁護士と連携をとりながら、クレーム対応のプロセスに則って事実関係の確認、責任の判定(法的評価)を行うことが必要」と強調した。
会員限定2024年07月05日 14時08分 公開
2024年07月05日 14時08分 更新
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