慢性的な人手不足は、オペレータのみならずSV/リーダーも同様だ。こうした課題にコールセンターは、どう立ち向かうべきか。組織・マーケティングコンサルティングを行う田中安人氏は、小売店や外食産業など、センターに似た雇用モデルの組織で、自律的な組織の構築に取り組んでいる。育成と組織設計の本質について聞いた。
──吉野家など、多数企業でマーケティングや組織づくりに関するコンサルティングを実践されています。グリッドを起業した経緯からお聞かせください。
田中 2010年、マーケティング関連のコンサルティング会社としてグリッドを設立しました。学生時代、ラグビーに熱中したことから、チームで目標に取り組むノウハウも身につけています。昨今、海外ではスポーツコーチング科学が非常に発達しており、それを仕事に応用した組織づくりの支援も行っています。起業には、私が新卒で入社した一部上場企業(量販店)が、入社後9年目に倒産した影響があります。企業が存続するには何が必要か。そこで、ラグビーの、「One for all All for one」の精神をもとにした組織を構築したいと考えています。強くて豊かな組織を作ることが、私の人生の命題です。
──吉野家でもご経験を発揮されていますね。
田中 吉野家のグループ会社「はなまるうどん」で、アドバイザーでありながら、マーケティング部長を務め、2017年から吉野家のCMO(最高マーケティング責任者)に就任しました。本職はマーケッターですが、マーケティングを成功させるには、強い組織を作る必要があります。労働人口の減少から、外食産業では、注文や配膳などデジタル活用が盛んです。ますます、ロボットレストラン化していくでしょう。
しかし、吉野家は、経営理念「For the People すべては人々のために」のもと、“人型レストラン”を追求しています。組織づくりは、こうした明快な理念や、「何のために自社が存在するのか」というパーパスの設定、そして仕事は大変だからこそ、「ゲームのように楽しく業務に取り組める職場」を目指しています。これにより、メンバーの内発的動機を醸成する環境が構築できます。
──内発的動機付け、パーパスとは。
田中 内発的動機とは、働き手の中からわき上がるやる気や、目的意識を指します。「仕事が楽しい」「自分が成長できている」と感じられる状態。一方、外発的動機は、「やらされている」状態。これでは、人は力を発揮しにくくなります。内発的動機付けのために、自社がなぜ存在するのか。そして他社と差別化するパーパスを明確にし、それを言語化して、属性を問わず、全社員に浸透することが不可欠です。
会員限定2025年04月20日 00時00分 公開
2025年04月20日 00時00分 更新
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