コラム
第114回
カミさんと一緒にテレビを見ているときに、タレントの言葉遣いに対して小言や文句が多くなったら、そろそろ爆発する段階にきていることが分かるようになった、わたちゃんです。なにか対策を練る必要に迫られているサインなのです。
顧客満足度の向上は、多くの企業が掲げる重要な目標です。この活動は、誰もがその重要性を認識しています。しかし、この重要性にもかかわらず、しばしば「精神論」として終わってしまい、具体的なアクションが伴わないことも少なくありません。その根本的な問題は、顧客満足度の向上に向けた活動と収益性との間の直接的な因果関係があいまいであるため、多くの場合、その効果を短期的には計りにくいという点にあります。
顧客満足度を単に「今月の売り上げにどのように貢献するか」という短期的な視点で見ることは、その本質を見誤ることになります。実際、顧客満足度の結果と同月の売り上げとの間に直接的なリンクを求めること自体が誤りです。顧客満足度は、その影響が表れるまでに時間を要するものであり、収益に対しては「先行指標」として機能すると考えるべきです。つまり、今の顧客満足度が将来の収益にどう影響するかが重要なのです。
具体例としてホテル業界を見ると、顧客満足度が低下すれば、それが直接的に将来の予約数や顧客のリピート率に影響を及ぼすことがあります。顧客が良い体験をした場合、その話はクチコミやレビューサイトを通じて拡散され、新たな顧客の獲得につながっていきます。一方、不満足な体験は顧客の離反を招き、それが長期的に見て売上減少につながる可能性があります。
ホテルにおける顧客満足度の動向が、リピート率への影響のみならず事業の戦略を左右する重要な指標であることを、ビジネス誌で星野リゾート代表の星野佳路氏も語っています。同社では、顧客満足度を集客の先行指標と捉え、毎日調査を実施し、異変の兆候をモニタリングしています。
これからのビジネス戦略においては、顧客満足度をただの「良いこと」ではなく、事業の持続可能な成長に直結する戦略的要素として位置付ける必要があります。顧客満足度の向上は、顧客のLife Time Valueを高めるための戦略的投資であると捉えるべきです。顧客が継続的に満足することで、その結果として収益が増加し、事業が持続可能な形で成長していくのです。
ということで、カミさんの怒りの先行指標が悪化した今こそ、対策を打つ必要があるのですが、具体的施策案が出てこないのです。根本原因を探るまでの分析ができていないのです。
2024年07月20日 00時00分 公開
2024年07月20日 00時00分 更新