コラム
第113回
計画通りにいかず困ることが多い、わたちゃんです。かといって、行き当たりばったりだと不安なので、どうしても計画はちゃんと立てるタイプでもあるのです。
「OODAループ」とは、軍事戦略家ジョン・ボイドによって考案された概念です。これは、観察(Observe)、方向付け(Orient)、決定(Decide)、行動(Act)の4つのステップから成り立っています。このプロセスは、迅速な意思決定と適応を可能にし、常に変化する環境に対応するためのものです。変化が激しく将来が予測不能で不確実な時代で成功を収めるためには、従来のPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルよりも、OODAループ(Observe-Orient-Decide-Act)のほうがはるかに効果的と言われています。
とくに「観察」の段階が重要です。ここでは、周囲の情報を収集し、その情報がどのような意味を持つのかを理解することが求められます。例えば、市場の新しい動向や競合他社の動き、技術革新などが観察の対象になります。
次に「方向付け」では、収集した情報をもとに現状を分析し、何をすべきかを検討します。ここでのポイントは、単に情報を処理するだけでなく、それを自分たちの状況にどう適応させるかを考えることです。
「決定」は、考えた方策をもとに具体的な行動を選択します。そして最後に「行動」では、選択した方策を実行に移すことで、再び「観察」へとつながります。このループを繰り返すことで、状況に応じた迅速かつ適切な対応が可能になります。
この一連の流れのなかで、カスタマーサポート部門は、顧客の声(VOC:Voice of Customer)を直接聞く重要な窓口であり、企業のOODAループ実現において中心的な役割を果たします。具体的には、顧客からの直接的なフィードバックや期待を収集することで、OODAループの「観察」段階を効果的に遂行します。この段階で得た顧客の声(VOC)は、組織内での「方向付け」のための貴重な情報源となるわけです。そして、収集したデータを分析し、それを基に製品開発、マーケティング、営業などの関連部門と連携して改善策の方向性を設定します。ここから、具体的な「決定」が行われ、「行動」に移すための計画が立てられます。
そして、施策が実施された後、カスタマーサポートは再度VOCを収集し、新たな施策の効果を評価します。このフィードバックをもとに、再び「観察」へと戻り、改善のサイクルを継続的に回していきます。このように、カスタマーサポートを起点としたOODAループを活用することで、企業は顧客中心の改善を実現し、組織全体の適応力と迅速性を高めることができるのです。
ということで、私も計画ファーストではなく、まずは、今までの実績や経過をしっかりと観察することにします。「過去は振り返らない! 前だけ見る」というのは聞こえがいいですが、過去の観察を踏まえた方向付けが成功の秘訣なのです。
会員限定2024年06月20日 00時00分 公開
2024年06月20日 00時00分 更新