自動化だけが課題ではない 「有人対応」の価値と未来

2024年7月号 <特集>

特集

自動化だけが課題ではない
「有人対応」の
価値と未来

Part.1 <現状と課題>

ホスピタリティ/寄り添い力には限界がある!
人材が「人財」に進化する“仕組み化”のすすめ

顧客対応の自動化が進むなか、かつて当たり前だった「有人対応」が特別なものになりつつある。しかし、有人対応の領域は「自動化できなかったもの」ではなく、「有人で対応する価値のあるもの」とすべきだ。そうすることで、ロイヤルティ向上やサービスの有償化が視野に入ってくる。コンタクトリーズン分析を起点とした有人対応の価値を高める手順を検証する。

 AI活用の急速な進行、人手不足を背景に従来、オペレータが対応してきた問い合わせの多くが自動対応に置き換わりつつある。しかし、すべての問い合わせをAIが代替することは、この先もあり得ない。少なくとも現段階と近未来において、生成AIといえどもできることには限界があり、「人による対応」が強く望まれるケースも多い。

 人件費が高騰するなか、自動化のコストメリットは高まっている。裏返せば、「人による対応」はコストパフォーマンスが悪く、そこに明確な価値を示せなければ、経営にとっては頭の痛い存在となってしまう。いわゆる「コスト部門」という意識が強まる可能性は極めて高い。

 そこで、「有人対応の価値」を改めて見直したい。

Part.2 <ケーススタディ>

デジタル活用から人材育成まで
「有人対応の価値」を高める5社の挑戦

生成AI活用が本格化したことで、セルフサポートの領域は各段に広がりつつある。今後、有人対応は自己解決が難しい問い合わせ内容や、あえて人が対応することで顧客ロイヤルティを向上できるケースに特化していくだろう。「人による対応」の役割を明確化し、その価値を可視化することが、コールセンターをマネジメントするうえで不可欠な取り組みとなる。事例各社の取り組みを追う。

 状況と用件(コンタクトリーズン)に応じて最適な手段/チャネルにナビゲートする。そうした仕組みを持ち合わせないことは、もはやCS(顧客満足)を下げる可能性すらある。

  Part.2では、そうした取り組みをすでに行い、有人対応の価値を示す5社の事例を検証する。5社に共通するのは緻密なコンタクトリーズン分析と、CX(顧客体験)を可視化したうえで構築したワークフローだ。これらは生成AI時代に進化するコンタクトセンターのグランドデザインにも不可欠な取り組みといえる。

CASE STUDY 1
SBI証券

<リソースマネジメント>
「いつでもコンタクトできる」価値を徹底追求
緻密なコールリーズン分析でリソースを最適化

 コールセンターは、まず電話がつながらなければ、その価値を示すことができない。リソースマネジメントの最適化による接続品質の維持は、業種業態、センターや企業規模を問わず不可欠だ。

 ネット証券大手のSBI証券は、需要の高まりと手数料無料化によって増えた呼量に対応すべく、センターを増設。そのため、まず取り組んだのが、コールリーズン分析だ。分析結果をもとにマルチスキルを前提とした運用を見直し、スキルを細分化することで、初期研修期間は約1カ月間も短縮、約2週間で着台できるようになった。

 並行して、自己解決の促進にも取り組んだ。セルフサポートの範囲外のコールリーズンについては、チャットボットから電話窓口に積極的に誘導。電話予約サービスも開始した。今後は、IVRでコールバックを選択できる「整理券方式」の予約サービスの導入も検討している。

河田裕司氏
カスタマーサクセス推進部長の河田裕司氏
CASE STUDY 2
三井ダイレクト損害保険

<ホスピタリティ>
専門外知識も習得する“保険のプロ”の価値
コンシェルジュがもたらす「安心感」

 ダイレクト型の損害保険は、基本的に加入者自身が情報収集し、サービスを理解して手続きを行うことが前提のビジネスモデルだが、保険商品は概ね複雑だ。

 三井ダイレクト損害保険は、「強くてやさしい」というコンセプトを掲げたコンシェルジュデスクを開設。デスクの立ち上げに際し、課題となったのが保険契約窓口のコミュニケータ(同社のオペレータ呼称)に、「事故対応の経験がない」ことだった。そこで、コンシェルジュの教育プログラムに、事故対応窓口で行っているトレーニングコンテンツを追加。これにより、コンシェルジュの知識レベルが飛躍的に向上、積極的な提案につなげている。コンシェルジュデスクは、真の意味で保険のプロとして豊富な知識を持ち、ワンストップ対応できる点が最大の「価値」といえる。

左から、三井ダイレクト損害保険 お客さまセンター部 サブゼネラルマネージャーの福島 歩氏、同部 品質・業務グループ グループマネージャーの和田英典氏
左から、三井ダイレクト損害保険 お客さまセンター部 サブゼネラルマネージャーの福島 歩氏、同部 品質・業務グループ グループマネージャーの和田英典氏
CASE STUDY 3
ヨシダ

<CRM活用>
ロイヤルカスタマーに提供する
“必ず解決できる”に導く「顧客理解」

 歯科医院向け医療機器を開発、販売しているヨシダ。コールセンターは、歯科医やディーラー(販売代理店)からの問い合わせに対応している。BPOベンダーに委託しているセンターで一次対応し、FAQで解決できない問い合わせは社員が二次対応する体制だ。

 機器の多くは高額だ。結果、購入した顧客から求められる応対品質レベルは高い。同社では、CS調査を実施、そこから顧客ニーズを把握したうえ、BPOベンダーに伝え品質管理に活かしている。

 顧客ニーズに応えるため、CRMソリューション(DB)をフル活用。どの機器を購入し、以前の問い合わせ内容を把握したうえで応対することでCS向上を図る。

吉井彰子氏
コンタクトセンター部 部長の吉井彰子氏
CASE STUDY 4
バッファロー

<BPO活用>
社内・顧客・外部機関からの全方位チェック
業務委託で価値を発揮する品質管理の要諦

 応対品質を追求しようとする際、人材育成の課題は避けられない。しかし、BPOベンダーにセンター運営を委託するケースでは、評価や異動など、直接的な人事権がなく、教育に関わる範囲は極めて限定的だ。委託先との連携がうまくいかないと、求める応対品質に達しない。

 PC周辺機器メーカーのバッファローでは、2社の大手BPOベンダーに顧客対応業務を委託。応対品質の評価を、社内・顧客・外部機関と複数の視点で行うことで、客観的な評価体制を整えている。

 モニタリングは、委託先との評価視点のズレを防ぐため、積極的にコミュニケーションを重ねている。

 定期的にミステリーコールも実施している。バッファローのQA担当者が評価し、委託先が採点したオペレータ評価との妥当性を確認する体制だ。

 さらに顧客からの評価と内部評価のすり合わせも行っている。顧客対応後のアンケート調査を2〜3カ月に一度のペースで配信、「柔軟性」「迅速さ」「誠実さ」の項目で評価している。外部機関に格付調査を依頼し、専門審査員による窓口評価も実施。「社内評価」「顧客アンケート」「外部機関調査」と複数の視点で応対評価を実施することで、目指す応対品質からの乖離を防いでいる()。

嶋田豊秋氏
バッファロー 品質保証部 CS課長の嶋田豊秋氏
図 「自社」「外部機関」「顧客」の3指標で調査
図 「自社」「外部機関」「顧客」の3指標で調査
CASE STUDY 5
BuySell Technologies

<正社員化>
価値は「大切な品を任せたい」という信頼──
“ジョブ型採用×教育”でZ世代人材を育てる

 「お客様との信頼関係は売買の成約に不可欠です」。そう強調するのは、着物・ブランド品などのリユース事業を展開するBuySell Technologiesのインサイドセールス事業本部 インサイドセールス事業部の梶田あやめ部長だ。

 同部は、リユースサービス『バイセル』において、最初の顧客接点を担う。全国各地からの「母の古い着物を整理したい」「価値が不明な品物を査定してほしい」といった相談・申し込みに対応し、品物の確認や査定日程を調整する。

 顧客理解を伴うコミュニケーションを実現すべく、同部ではジョブ型採用で新卒を正社員登用し、独自の教育制度やモニタリング評価による育成に取り組んでいる。

 新人研修は、Z世代である新卒の「失敗を恐れがち」といった特徴を踏まえ、小さな成功体験を積み重ねることにフォーカス。評価項目は、一般的なトーン&マナーを測るものではなく、顧客の性格や相談の背景、現在の状況といった個別の要素を把握し、寄り添った対応ができているかを重視している。

梶田あやめ氏
インサイドセールス事業本部 インサイドセールス事業部部長の梶田あやめ氏
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2024年06月20日 00時00分 公開

2024年06月20日 00時00分 更新

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