“組織的な顧客対応”への転換   「Zoom」が目指すCX/EX統合の効果

「顧客に対応するのは、オペレータ1人ではなく組織単位であるべき」。Zoom Video Communications Head of Zoom Contact Center Sales & GTMのChris Morrissey(クリス・モリッシー)氏は、こう強調する。高まり続ける顧客の期待に応えるには、社内外のコミュニケーションおよび情報の統合活用が不可欠と指摘する、同社のコンタクトセンタープラットフォーム『Zoom Contact Center』の強化の方向性を聞いた。  

 

 クリス・モリッシー氏
Zoom Video Communications 
Head of Zoom Contact Center Sales & GTM
Chris Morrissey(クリス・モリッシー)氏


──2023年7月にクラウド型コンタクトセンタープラットフォーム『Zoom Contact Center』をリリースして約1年、日本市場の印象は。
モリッシー
 クラウド型コンタクトセンター領域においては、大きく成長する可能性を秘めている市場として、(本社を置く)米国に次ぐ優先度で投資を進めています。具体的には、データセンターを東阪2カ所に設置して冗長性を高めました。さらに、グローバルで3カ所めとなるデモンストレーション体験施設『Zoom Experience Hub Tokyo』も開設し、導入提案の質を高めています。
──BPOやSI、キャリアといったパートナーとの連携も積極的に推進していますね。
モリッシー
 企業に“Zoomの価値”を最大限享受していただくには、スクラッチ開発も含むCRMシステムやワークフローといった業務アプリケーションとのインテグレーションが重要です。ビジネスパートナー向けの支援プログラムを提供するなど、徹底的にサポートしていく方針です。
──“Zoomの価値”を具体的に教えてください。
モリッシー
 開発当初から、「あらゆるコミュニケーションを集約し、一貫した体験を提供する」を設計思想として、機能を備えてきたことにあります。Zoomという1つのプラットフォーム上で、顧客とのコミュニケ―ション機能と従業員同士のコミュニケーション機能をシームレスに連携し、双方の情報(データ)を還流させることで一連のコミュニケーションにおける体験を向上できます。これは、近年のコンタクトセンターにおけるトレンドの1つである「CXとEXの融合」とも合致するもので、現在は「顧客に対応するのはオペレータ」から「組織全体で顧客に対応する」へと変化する時期に差し掛かっていると考えています。
──市場におけるトレンドをどう捉えていますか。
モリッシー
 生成AIも含む「AIの活用」と「迅速なイノベーション」が求められています。AIの活用は、コンタクトセンターにおいては、CXを高めるためのパーソナライゼーションや会話の自動要約、タスクの提示といった「オペレータ支援」「自動応答」、そしてSV向けの「分析」の3領域の機能拡充を図っていく方針です。迅速なイノベーションとは、企業に対する消費者の要求レベルが高くなり続けているため、これらにより早く、より多くのニーズに応えられる体制を整えることが重要という考えています。
 テクノロジーによって、日々の生活のなかで、本当に多くの物事がセルフで簡単に完結できるようになったり、パーソナライズされた提案を当たり前に受けられるようになりました。例えば、Netflixは、職業や好みなど、顧客のあらゆる情報に基づいてお奨めの動画を提案してくれます。同様にすべての企業とのコミュニケーションにおいて、これらと同じ水準の体験が求められつつあるのです。
──こうしたニーズに、Zoomはどのように対応しますか。
モリッシー
 すべてのコミュニケーションにAIを張り巡らせて、得た情報を基に各部門に対して最善の打ち手をスピーディに提示することが可能です。コンタクトセンターにおいては、問い合わせてきた顧客1人ひとりにパーソナライズした提案を実現します。さらにAIに関しては、企業がCX/EXを考えたときに、望む“道具(手段)”がすべて揃っており、即時に使える環境を提供するために、独自のエンジンとサードパーティ製のエンジンから製品ごとに最適なものをZoomが選択し、組み込んでいっています。
──NTTをはじめ、多くの日本企業が独自の和製LLMを開発していますが、これらは組み込み可能でしょうか。
モリッシー
 今後サードパーティのお客様持ち込み型の多様な言語モデルをZoomプラットフォームに統合して使用いただけるよう計画しています。日本企業も、日本のローカルLLMを統合してご利用いただくことができる見込みです。加えて、独自開発したAIエンジンも、日本語を含む多言語で精度向上を図っていく方針です。

2024年06月14日 16時00分 公開

2024年06月14日 16時00分 更新

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