元ファーストクラスCAの接客術“おもてなし力”の磨き方 第1回

2023年6月号 <元ファーストクラスCAの接客術 “おもてなし力”の磨き方>

江上 いずみ

“おもてなし力”の磨き方

<著者プロフィール>
筑波大学・神田外語大学客員教授。Global Manner Springs代表。慶應義塾大学卒業後、日本航空(JAL)の先任客室乗務員として30年間乗務。機内アナウンスに定評があり、JALの機内アナウンス指導クリニック創設者でもある。1987年、皇太子殿下・美智子妃殿下特別便に選出され乗務。現在、大学や医療機関、介護施設、官公庁や企業に講演や研修を行う。著書「JALファーストクラスのチーフCAを務めた『おもてなし達人』が教える“心づかい”の極意」(ディスカバー・トゥエンティワン)著者。「幸せマナーとおもてなしの基本」(海竜社)

世界に発信したい「日本のこころ」の文化

江上 いずみ

 月刊コールセンタージャパンをご愛読の皆さま、こんにちは。江上いずみと申します。

 2022年11月に東京・池袋のサンシャインシティ・文化会館ビルで開催された「コールセンター/CRM デモ&コンファレンス2022 in 東京」において基調講演をしたご縁で、このコーナーを担当する機会をいただきました。

 この記事を書いている日は、視聴率42.4%をたたき出し、日本中が熱狂したWBC決勝戦の翌日です。昨夜そして今朝と、テレビ各局は争うように、取材した侍JAPANの情報を交えながら、さまざまな名場面を報道しています。

 そのような中、米国のメディアが、日本のダグアウトの清潔さに驚嘆、感動し、ゴミのない綺麗な侍JAPANのベンチの様子を発信しました。また、決勝戦で勝利した直後、歓喜の渦で場内が盛り上がるなか、侍JAPANの面々が3塁側に整列して、対戦相手である米国チームに向かって帽子を取って深々と一礼したことを取り上げ「周囲への感謝を示した感動の振る舞い」と報道しました。海外メディアから「日本人は信じられないほど対戦相手に敬意を払う。日本という国にとても感銘を受けた」と称賛された侍JAPANは、全勝で圧倒的な強さを見せただけでなく、プレー以外でも世界中のファンを魅了したのです。

 思えば、昨年開催されたサッカーWorld Cupでも、試合後にロッカールームを綺麗に整理整頓した日本のチームや、試合後に観客席のゴミを拾い、綺麗に清掃する日本人サポーターの姿が多くのメディアに「日本のおもてなし」として取り上げられました。こうした国際スポーツ大会やイベントで、海外メディアから取り上げられる「おもてなし」とはいったいどういうものでしょうか。その語源には、2つの説があるといわれています。

 1つは「持て成し」という名詞に、丁寧語の「お」をつけたという解釈です。心を以って、行為を成すこと、相手のことを思って一生懸命に何かをして差し上げることです。

 もう1つは「表なし(つまり、裏表がない)」という意味で、表面的ではなく「心の底から」相手を大切に思って何かをして差し上げるという解釈です。

 「おもてなし」とは、こうした2つの基盤の上に成り立つふるまいです。そのため、相手に対価や見返りを求めることはなく、素直な心で自然発生的に対応するものというイメージになります。

 このように記すと、それはまさにコールセンターはじめ、さまざまな企業で接客にあたる皆さまのお仕事そのものといえます。

 この記事を読む多くの皆さまが、各企業のSVやリーダーとして、新入社員や配下の方々に接客や電話対応を指導なさっていることと思います。私もCAとしての30年間の乗務生活の中で、時には嬉しく、時には苦い経験をたくさんしてきました。そうしたエピソードを交えながら、次号から楽しく有意義なお話を紹介していきたいと思います。

「おもてなしの心」とは?

 

2024年01月31日 18時11分 公開

2023年05月20日 00時00分 更新

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