コラム
第134回
去年の10月、灼熱の砂漠の国、サウジアラビアの首都リヤドに視察旅行に行った、わたちゃんです。「なんでサウジ?」「砂漠しかないのでは?」「女性の運転は?」と周りからは、古いイメージばかり。
でも、実際に行ってみたらビックリ! 街全体がまるで巨大な建設現場みたいで、活気ムンムン。2019年の観光自由化以降、明らかに空気が変わっているのを感じました。超未来都市NEOMプロジェクトとか、国王肝いりの壮大な計画が次々と動いていて、「本当にあの石油の国?」と、思わず口があんぐり。近代化の波を肌で感じて、親しみやすさというよりは、むしろ「この国の本気度、ハンパないぞ」という驚きが勝りました。
さて、そのサウジアラビアが国を挙げて取り組んでいる「脱石油戦略」、正式には「サウジ・ビジョン2030」といいます。長年、サウジアラビアは原油の輸出に経済をほぼ依存してきました。これは安定した収入源である半面、国際的な原油価格の変動に国家経済が大きく左右されるという脆弱性を抱えています。さらに、地球規模での脱炭素の流れや再生可能エネルギーへの移行が進む中での強い危機感が背景にあります。従来の考え方は、「石油さえあれば大丈夫」という安定志向でしたが、そのモデル自体が「持続不可能なリスク」に変わってしまったのです。
サウジアラビアの戦略が凄いのは、単なる産業の多角化にとどまらない点です。彼らは国家のDNAの書き換え」に挑んでいます。従来の石油収入を原資として、観光、エンターテインメント、ハイテク産業、金融など、まったく新しい成長の柱をゼロから創り上げようとしています。
このイノベーションの推進力は、「国王によるトップダウン」です。サウジアラビア(Saudi Arabia)という国名が「サウジ家の国」を意味するように、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子を中心とした絶対的なリーダーシップが、長期的な戦略を「即断即決」で、「超高速」で実行に移すことを可能にしています。民主的なプロセスが時間を要するのに対し、この強烈なトップダウンこそが、急激なイノベーションを可能にするサウジ流の競争優位性となっているのです。
乱立する高層ビルや大型ショッピングモール、最先端の地下鉄など、リヤドで目の当たりにした急激な変化は、このトップダウンによるイノベーションの成果です。
ということで、今回の視察で、「サウジのイノベーションは凄い!」と心から感じたわたちゃんですが、一つだけ残念なことが。それは、イスラム教の教えにより、お酒が一切禁止だったこと! 夕食時に仲間とと「ちょっと一杯」という、「ビジネス潤滑油」がまったく飲めませんでした。観光客相手でも頑なに禁酒なのが、ちょっぴり悲しかったですね。
でも、最近ではこれも解禁されるというニュースも聞こえてきています。もし本当なら、2030年のリヤド万博の頃には、ドバイをも超える国際都市になっているのではないか、と強い期待を抱きました。来たるリヤド万博に「今度こそお酒が飲めるかも!」という、不純ながらも強力なモチベーションが沸いた視察でした。

2026年03月20日 00時00分 公開
2026年03月20日 00時00分 更新
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