企業に、カスタマーハラスメント防止策を義務づける方針が決定。首都高速道路ではいち早く、社員を守る対策として、23年に「切電マニュアル」を策定し、運用を開始。同社はかつて、カスハラ案件で被害届を出し対応したことがある。担当者として対応した恩田氏に、「お客様第一を維持したまま社員を守る」ポイントを聞いた。
──カスタマーハラスメント対策が進むなか、コールセンター側から対応を中止または中断する「切電」をルール化する傾向が強まっています。首都高速道路(以下、首都高)は、いち早くそのルールを適用しました。背景を教えてください。
恩田 当社のカスハラへの姿勢を示すとともに、問題の撲滅にも寄与できたらと考え、24年10月に公表しました。
社内では公表の1年半前の23年5月、「切電マニュアル」を策定。お客さまセンターを中心に、カスハラに対しては、電話をこちらから「切ってもよい」とする「切電」の運用を開始しています。同センターには、年間約63万件の問い合わせがあります。大多数が、所要時間や渋滞情報、ETC運用に関する問い合わせです。運用開始から24年11月まで、30件に対して切電を実施しました。運用から1年が経ち、軌道に乗ったため24年6月からはメールも対象に含めています。
──切電マニュアルについて教えてください。
恩田 前提として強調したいのは、経営理念の筆頭に「お客さま第一」を掲げていることです。お客さまセンターでも、「お客さまの声(VOC)を1件1件、大切に扱う」ことを重視しています。ですから、カスハラ案件も含めてVOCはデータベースに登録し、全社員がいつでも閲覧できる環境を整備しています。さらに、経営会議の場でも、毎月1回はVOCを報告しています。
──切電の際のルールはあるのでしょうか。
会員限定2025年02月20日 00時00分 公開
2025年02月20日 00時00分 更新