日本のコールセンター運営企業が最も重視するKPI──それが「平均応答率」だ。編集部が実施した「コールセンター実態調査」における回答企業の平均値は例年90前後。ほとんどの企業の目標値が90%程度で、一見すれば問題ない数値に見える。
しかし、消費者を対象とした「コールセンター利用者調査」では、「待ち時間が長くてつながりにくい」という不満が最も多い。2023年の調査では、回答者の約半数が、直近にコールセンターに電話をかけたケースで「1分以上待った」と回答。両者には「つながりやすさ」に対する認識に埋めがたいギャップがある。
このギャップの原因こそが、応答率を重視したマネジメントにある。応答率ではつながりやすさを可視化することはできない。1コールでつながったコールと、数分、あるいは10分以上待ってつながったコールも「同じ応答できたコール」としてカウントされる。これらが同じ顧客体験ではないことは言うまでもない。
さらに「平均値」は、カスタマーエクスペリエンスの観点からはほぼ、意味をなしていない。最も多くの顧客が体験するピークタイムの応答率が30%程度でも、それ以外の時間帯が95%を超えるようなら、平均は90%前後に落ち着くはずだ。「顧客の数」をベースに考えると、つながりやすい体験をした顧客とつながりにくい、あるいはつながらなかった体験の顧客の数は、どちらが多いのかを検証すべきだ。
確かに、平均応答率は、経営者に「つながりやすいセンター」の証左として示すには、便利な指標である。しかし、顧客視点を重視するのならば、せめて「X秒以内にY%のコールに応答する」を示した基準値である「サービスレベル」の達成率を、時間帯ごとに検証する習慣が必要だ。
2024年02月19日 18時46分 公開
2024年02月19日 18時46分 更新
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