実践編
第11回
カスハラ対策なくしてDXは進まない!
診断シートを活用した現状把握のススメ
カスタマーハラスメント対策は、DXのためにも必要不可欠だ。苦情対応に疲弊する現場を放置したままでは、DXは実現できない。生成AIの登場によって急激な変化が求められる今、苦情マネジメントの成熟度を高め、DXに備えた人材育成とリスキリングを進める必要がある。今回は、苦情マネジメントの成熟度とDXリスキリングの現状把握をするための評価シートを紹介する。
苦情・クレーム対応とカスタマーハラスメント対策は、DXを進めるためにも避けられない取り組みだ(図1)。実際、苦情マネジメントの成熟度が高い組織は、AI活用やDX推進のための強固な基盤を有していることが多い。成熟度が低い組織は、DX化人材のリソースの課題に直面しがちだ。
DX化を促進するには、カスタマーサポート人材のリスキリングは欠かせない。以下に、AI活用・DX化に取り組むために必要なスキルセットを列挙する。
<業務経験から身につけられるスキルセット>
(1)カスタマーサービススキル:顧客対応の経験に裏打ちされた問題解決能力
(2)製品やサービスに関する知見:製品やサービスの詳細に至るまでの深い理解
(3)顧客の課題理解:顧客が迷うポイントを正確に把握し、対応する手法、非定型なクレームと定型的な課題を区別する能力
<リスキリングが必要なスキルセット>
(1)データ分析:顧客データやコールリーズンの分析、トレンドを把握するための基本的なデータ活用技術
(2)AIやDXの活用範囲の理解:AIやDXの基本的な機能を理解し、今後のトレンドを把握する
(3)技術系スタッフとのコミュニケーション:IT技術者や開発者と効果的にコミュニケーションを取る能力
(4)ツールの使用技術:ITソフトウェアやツールを適切に使用する基本的な能力
(5)プロジェクトマネジメント:PoC(概念実証や試験運用)の実施、基本的なプロジェクトの管理能力
リスキリングの対象となる人材は、ベテランとして信頼される存在であるケースが多い。こうした人材が、非定型的な高難度のクレームにも従事せざるを得ない場合、疲弊しDX化の推進は困難となる。従って、DXに向けたリスキリングが可能かどうかは、カスタマーハラスメント対策が十分に実現されているかどうかにかかっている。
組織の成熟度を判定
自社のカスタマーハラスメント対策の現状を把握するための、「CMX苦情マネジメント成熟度判定(簡易版)」が図2だ。苦情マネジメントのガバナンス、プロセス、運用の3つの領域を測定するもので、2点(ほぼ実施されている)、1点(一部実施されている)、0点(継続的には実施されていない)の3段階で評価する。実際に判定する場合は質問をランダムに配置することで、より客観的な評価結果が得られやすくなる。多くの組織が、20点に満たないというのが現実だ。とくに、経営層から現場レベルまでのガバナンスの欠如が目立つ。課題の明確化と部門間での共有、弱点に課題があることが多い。
苦情マネジメント成熟度と併せて、「AI活用・DX推進のリスキリング施策」に関する評価シート(簡易版)も紹介する。こちらは満点(6点)を目指したい。
成熟度とリスキリング施策のスコアを掛け合わせ、120点を超える結果を目指したい。スコアが低い場合は組織の弱点を明確にし、是正する。苦情マネジメントの成熟度を高め、DXリスキリングを進めることでカスタマーサポートの質を向上、組織全体としての競争力を高められるはずだ。
AI活用や経営貢献、プロアクティブサポートなど、革新的なサービスを構築していくには、部分最適的なアプローチでは不十分だ。カスタマーサービスやコールセンターで優れた人材を戦略的に揃えるには、土台となる苦情マネジメントの確立が喫緊の課題である。
2024年01月20日 01時08分 公開
2024年01月20日 01時08分 更新
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