「コンタクトセンターの未来を考えるセミナー」開催レポート

“現場”の知見を活かす方法を議論

コールセンタージャパン編集部は4月、「コンタクトセンターの未来を考えるセミナー2026 Vol.1」をオンラインで開催した。テーマは「AIコンタクトセンターの前提『顧客理解』の研究」。カスタマーエクスペリエンスに関する識者やVOC活動、AI活用に積極的な事業会社、BPOベンダーを交えてディスカッションを展開した。

 

基調パネルディスカッションでは、UX/CXに関する豊富なコンサルティング実績を持つビービットの代表取締役、遠藤直紀氏と、ブームとなっているリカバリーウェアのパイオニア的存在であるTENTIAL CS部部長の谷合北斗氏が登壇。編集部の矢島竜児の進行でディスカッションした。

基調パネルディスカッションのパネリストの谷合氏(右上)、遠藤氏(下)、モデレータの矢島(左上)
基調パネルディスカッションのパネリストの谷合氏(右上)、遠藤氏(下)、モデレータの矢島(左上)

遠藤氏は、「生成AIによってカスタマージャーニーが大きく変わりつつある」と指摘したうえで、「AI検索が普及したことで企業サイトではトラフィックが減少し、今後もさらにその傾向は強まります。顧客の行動データは入手しにくくなる結果、コンタクトセンターに入る問い合わせの価値は高まり、コストセンターから『インサイトセンター』へ生まれ変わることに期待したい」と説明した。

谷合氏は、VOC活動の具体的な取り組みとして「従来から課題だったオペレータによる手動でのタグ付けやご意見の取りこぼし、入出力データのフォーマットの統一化などを生成AI活用でクリアしてきました。具体的には、データ整形→カテゴリーごとに設定した専門家AI→チェックする上司AIまでを自動化し、最終的に人がチェックするという方法です」と説明。その成果として、「従来は1件あたり300秒かかっていたVOCの分類が、10.8秒に短縮した。AIが作業を担い、人が“本質的な判断”を担う構造へと進化しつつある」と解説。

クロストークでは、AI活用における「現場主導」の重要性が議論された。遠藤氏は「AIもDXも、“横串部門”が主導して実施する手法でうまくいった事例は少ない。『どうしても解消したい!』という課題を持っている人が主導すべき」と強調。谷合氏も、「(VOCチームは)自分がやりたいことを形にしたいという熱量が高かった」と同意した。

AIを活用した新しいCXの作り方 通販業界における顧客体験変革

ソリューションセッションでは、本セミナーの協賛でもあるWOWOWコミュニケーションズの営業戦略本部 執行役員、日野智江氏と、同社と協業しビジネス展開しているヘルスビズウォッチの共同代表 / Chief Technical Officer ヘルスコーチの里見将史氏が登壇。「顧客に寄り添うAI、新しいCXとLTVを創る」と題してディスカッションした。

日野氏は、健康食品やサプリメント市場の現状について「利用者数は微減しているものの1人当たりの購入額は微増しており、個別対応の重要性が増している」と分析。「“N=1”の声にどう応えていくか。そこに生成AIを活用した事例として、ヘルスビズウォッチ様の取り組みを紹介いたします」と里見氏につないだ。

里見氏は、ヘルスコーチング(専門家が答えを教えるのではなく、対象者の気づきを引き出すコミュニケーション)と生成AIを組み合わせた「きっかけデザインAI」を紹介。ヘルスコーチングとは、消費者(ユーザー)の行動変容を促すコミュニケーションで、「専門家が答えを教えるのではなく、対象者の気づきを引き出すコミュニケーション」(里見氏)。
きっかけデザインAIは、このヘルスコーチングと生成AIを組み合わせて実現したサービスで、里見氏は「目標の言語化、顧客自身による選択、振り返りという3つのステップで構成されます」と説明。サービス利用を通じて、「マズローの欲求階層における安全欲求から自己実現欲求へのシフトを促す」(里見氏)という。PoCでは、従来の表面的な回答から背景や目的を含んだ解像度の高い情報を抽出できただけでなく、顧客の前向きな意欲を引き出しながらマーケティングデータを収集するという、行動変容とデータ取得の同時実現がもたらされている。

2026年05月07日 09時10分 公開

2026年05月07日 09時10分 更新

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