NTT西日本(大阪市都島区、北村亮太代表取締役社長 社長執行役員)は、7月24日、NTT西日本本社内で金融機関向けユーザー会「ACTIVE BANK CX DAY」を開催した。
銀行や信用金庫、証券会社、債権回収会社などのコンタクトセンター担当者が参加。生成AI時代のCX(カスタマーエクスペリエンス)向上やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進をテーマに、参加者同士の意見交換・ディスカッションや講演を行った。
特徴的だったのは、参加者間の意見交換を重視し、ディスカッションに十分な時間を設けたプログラム構成だ。参加者はグループを入れ替えながら、「コンタクトセンターの課題」「DX導入の障壁」「AI導入後、最初に改善したいこと」の3つのテーマについて議論を重ね、各社に共通する課題を可視化した。
「コンタクトセンターの課題」をテーマとした回では、「人材不足」と「ナレッジ活用」に関する意見が多く挙がった。「電話を取り切れない」「応答率が40~50%にとどまる」「顧客情報の入力や後処理に時間を取られ、次の応対に移れない」といった状況から、サービス品質や生産性に影響が生じている実態が浮き彫りになった。ナレッジ活用についても、「誰が更新するのか決まっていない」「メンテナンスを継続できない」「個人のノウハウに依存している」といった意見が相次いだ。一方で、問い合わせログからFAQを生成・更新するなど、AIによるナレッジ整備支援への期待も示された。
「DX導入の障壁」をテーマとした回では、「AIツールの導入自体が目的化し、本来の課題が置き去りになっている」「費用対効果を経営層に説明しづらい」「推進人材が異動・退職するとプロジェクトが止まる」「厳格なセキュリティポリシーがAI活用の壁になる」といった意見が挙がり、技術面以上に、組織や運用面の課題が目立った。また、「要件定義の段階から伴走してほしい」「専門知識を持つパートナーと一緒に進める必要がある」など、ITベンダーや支援企業に対する要望も聞かれた。
最後の「AI導入後、最初に改善したいこと」をテーマとした回では、1回目、2回目のディスカッションで挙がった課題に関連する意見が多く示された。具体的には、「FAQのPDCAをAIで回したい」「暗黙知を形式知化し、ベテランのノウハウを継承したい」「受付や簡易な問い合わせはAIに任せ、人は高度な相談に集中したい」などである。人手不足が深刻化するなか、AIに任せられる業務は任せ、人は人にしかできない応対に注力するという方向性が、参加者から共通して示された。
意見交換・ディスカッションの合間には、参加企業である宮崎銀行と山陰合同銀行が講演した。宮崎銀行は、経営企画部 企画グループの田嶋洋希氏が登壇。分散する森林情報をデジタルで集約し、カーボンクレジットの販売収益を再造林に活用する、DXとGX(グリーントランスフォーメーション)を組み合わせた地域課題解決の取り組みを紹介した。同行の子会社が森林経営を受託し、森林所有者の費用負担を抑えながら、森林資源を次世代へ引き継ぐ事業モデルを示した。
山陰合同銀行は、ダイレクトチャネル部 副部長の池田信行氏が登壇した。経営層のコミットメントのもとで進めるオムニチャネル戦略を説明した。顧客が希望するチャネルを利用できる環境を整えるため、ビジュアルIVRを起点に、FAQや有人チャット、音声基盤などを拡充・連携。リアルタイム文字起こしや要約、応対品質評価、商品提案支援などにAIを活用し、インバウンド業務とアウトバウンド業務を一体的に運営する非対面チャネルの事業拠点化を進めている。
このほか、NTT西日本グループ企業とパートナー企業による講演も行われた。NTTマーケティングアクトProCXは、問い合わせのしやすさや、アプリ、Webサイトなどのデジタルチャネルを含めたCXが、金融機関を選ぶ際の重要な要素になっていると説明した。生成AIの活用にあたっては、まずVOC(顧客の声)など、コンタクトセンターに蓄積されたデータを分析して現状を把握し、そのうえで適用領域を見極めるべきだと提言した。テクマトリックスとモビルスは、問い合わせログからFAQ候補を自動生成し、既存FAQとの比較をもとに、新規追加や修正の候補をAIが提示するナレッジ基盤を紹介。FAQ運用は、「人がイチから作る」形から、「AIが作成・提案した内容を人が判断し、承認する」形へ転換していくという考え方を示した。NTTテクノクロスは、リアルタイム文字起こしや要約、CRMへの入力支援、応対内容に応じた商品提案などを行うオペレータ支援AIのデモンストレーションを披露した。
同会の締めくくりでは、NTT西日本が開発中の分析AI「Insigent(インサイジェント、仮称)」を紹介した。FAQやIVR、応対履歴、勤怠など、コンタクトセンターに蓄積されたデータを横断的に分析し、自然言語で課題を入力すると、必要なKPIを選定して分析し、改善案を提示する仕組みだ。また、同会のディスカッションや講演の録音データをもとに、生成AIで漫才のシナリオを作成し、NTT西日本の社員が実演する余興も行われた。
2026年08月17日 10時00分 公開
2026年08月17日 10時00分 更新
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