「コンタクトセンターの未来を考えるセミナー」開催レポート

“現場”の知見を活かす方法を議論

現場視点、現場主導で導入 3社が挑む「AI業務改革」

 事例セッション:MIXI 横井氏(左上)、WOWOWコミュニケーションズ 横関氏(左下)、DMM.com 牛丸氏(右下)、進行の矢島(右上)

最後の事例セッションは、「AIがオペレータを助ける、手伝う、導く──共創・共助関係の築き方を学ぶ!」と題して、DMM.comのプロセスデザイン本部 カスタマサポート部 部長 牛丸潤一氏、MIXIのCS本部CS部 部長 横井速人氏、WOWOWコミュニケーションズのWOWOW事業部 デジタルCRM課マネージャー 横関彩氏が登壇した。

まず、35におよぶサービスのマルチサポート体制を統括する牛丸氏は「現場の余裕のない状況」を前提としたAI導入の重要性を強調した。「イノベーションを起こすためにAIを利用するというよりも、限界を迎えた現場を支援してオペレーションを維持・改善する存在にするという発想」のもと、AIで業務を圧縮し、判断や価値創出に人的リソースを集中させる「余白の創出」を推進している。さらに、KCS(Knowledge-Centered Service)を採用することで、構造化されたナレッジ管理による人材育成とAI精度向上を図っている。
一方、モンスターストライクなど多様なサービスのサポートを担当する横井氏からは、実務に即した具体的な活用事例が紹介された。「(お客様が)問い合わせする前、問い合わせした後、そして問い合わせ対応するオペレータ支援の3つのポイントでAI活用を検討、実装しました」(横井氏)
現場で活用している生成AIは、ChatGPT Enterprise/Gemini Enterprise/NotebookLM/GoogleAgentspace/Dify/Zendesk AIなど。「全社を挙げてAIの利活用を促進しているので、エンタープライズプランを契約、使いやすい環境ではあります」(横井氏)という。例えば、NotebookLMを活用した研修事例として「サービスの仕様書やこれまで使ってきた研修資料を読み込ませて、音声や動画、研修内容の理解度チェッククイズなどを作成し、従来数日かかっていた研修について70%の時間を削減できました」と紹介。他にもエスカレーション時のナレッジ支援や問い合わせフォームへの自動ナレッジ提示などのAI施策で大きな成果を挙げている。
横関氏は、BPOベンダーとしての強みとして「現場を知る人材による設計実装とさまざまな業種での実践知の蓄積」について、具体例を挙げつつ紹介。「現場の課題を起点に、CX向上、オペレータ支援の2軸で小規模なPoCを実施し、効果検証したうえで実装を進めています」と説明した。具体的には、ボイスボットによる対応自動化やVOC分析、王品質評価などかなり幅広い領域でAI導入が進行中だ。また、人と AIの役割分担として、迷わず手間なく目的達成できる「エフォートレス体験」はAIが得意な領域であり、感情が動く記憶に残る「エモーショナル体験」は人が得意な領域と整理。「この両方を高品質なBPOサービスとして提供していく」とまとめた。

現場、経営が志向すべき

「インサイトセンター」への進化

生成AIの普及により、コンタクトセンターは「戦略的なインサイトセンター」への転換が求められている。成功の鍵は、現場の課題を深く理解した人材がAIを積極的に活用し、顧客1人ひとりに寄り添った価値提供を実現することにある。テクノロジーの導入だけでなく、人材育成と業務プロセスの再設計を含めた包括的なアプローチが、今後のコンタクトセンター運営において不可欠となるだろう。

2026年05月07日 09時10分 公開

2026年05月07日 09時10分 更新

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