実践編
第5回
コールセンターの新人研修では、話し方にフォーカスされがちだが、接客で重要なのはむしろ「聴く力」だ。知識や経験が乏しく自信がない新人ほど、話を聞く余裕がなくなる。しかし、「話をちゃんと聞いてくれない」と感じた顧客には不満が残り、それがクレームに発展することがある。早期離職を防ぐためにも、「聴く力」をまず伸ばしたい。今回は、「聴く力」の具体的なトレーニング方法を解説する。
コールセンターの現場で、新人に最初に求められるのは「正しく話す力」だと思われがちです。敬語の使い方、声のトーン、スムーズな商品説明。もちろんそれらは大切です。しかし、仕事の質を本当に左右するのは、実は「話す力」よりも「聴く力」です。
お客様は、必ずしも完璧な説明を求めて電話をしてくるわけではありません。「分かってほしい」「気持ちを受け止めてほしい」という思いを抱えていることも多いのです。ここに応えられるかどうかが、接客の質を大きく分けます。
私はこれまでアナウンサーとして、数多くの取材現場に立ってきました。新人時代は、原稿を正確に読み上げることに意識が向き、「うまく話す」ことばかりを考えていました。しかし、あるとき先輩に言われたのです。「話す前に、ちゃんと聴いている?」と。
その一言で気づきました。私は、取材対象の話を途中で遮り、自分の聞きたい方向へと誘導してしまっていたのです。本当に相手の話を聴くことができたとき、言葉は自然と深まり、視聴者に届く内容に変わりました。
会員限定2026年03月20日 00時00分 公開
2026年03月20日 00時00分 更新