CS部門の危機を救い、常識を破壊する―― 「生成AI」「AIエージェント」がもたらす真の成果

生成AI×コンタクトセンターサミット/ソリューションベンダーディスカッション レポート

「生成AI×コンタクトセンターサミット」

ソリューションベンダーディスカッション レポート


 生成AI、AIエージェントによって未来のカスタマーサービスはどうなるのか――。RightTouch 代表の野村修平氏、カラクリ 代表取締役の小田志門氏の2氏が登壇したセッションでは、CX(カスタマーエクスペリエンス)、EX(エンプロイーエクスペリエンス)の両方の視点で可能性を論じた。

ソリューションベンダーディスカッション全景


 前半は、進行役のコールセンタージャパン編集長の矢島竜児が、生成AIの活用状況と課題を説明。そこから未来志向のCXに話を進め、キーワードとして「AIエージェント」を挙げた。
AIエージェントについて、小田氏は「さまざまな定義があるが、“自律的”がキーワード。明確な指示を与えてなくても必要な処理を実行するシステムと言われるが、実際には自律性にはグラデーションがあると考えています」と説明。自律度に応じたカバー領域や対応の柔軟性を図示した。これに対し、野村氏は、「付け加えるとすれば、顧客(企業)固有のデータをどれだけ活用できるのかも重要です。このデータの量によってできることが決まるため、必要なデータは何で、どのようにインプットするのかが構築においてキモになるでしょう」と指摘した。
後半は、浸透の方向性として、「企業(目的)ごとのAIエージェントへのコンタクト」「プラットフォーマーのAIエージェントを介した企業ごとのエージェントとのやりとり」の2パターンを提示。CX視点で、顧客が企業アプリをインストールしたり、Webサイトを検索する手間なく利用できるメリットが大きい後者の仕組みが実現されていくことを示唆した一方、企業視点では顧客との接点の希薄化やプラットフォーマーのAIエージェントの精度への依存度が高いことなどの課題も提示した。

左から、RightTouchの野村氏、カラクリの小田氏
左から、RightTouch代表の野村修平氏、カラクリ 代表取締役の小田志門氏


これを踏まえて、矢島が提示した「旅行のアドバイス、予約(図1)」「自動車保険の見積りと申し込み(図2)」「夕食の買い物(図3)」の3つのケースの実現可能性について、それぞれ見解を示した。小田氏は、「結論としては、すべてできると思います。ただ、いずれにせよ企業側がデータを用意できているかどうかという問題がつきまとうと思います」と指摘。野村氏は、「複数の企業のAIエージェントがやりとりするなかで成り立つ世界。2025年中という括りでは、(AppleやGoogleなど)ビッグテックによって顧客側のスマホへのパーソナルアシスタントの実装は進んでも、企業側のアプリへのAIエージェントの組み込み、情報を収集する製品の開発・提供体制が整うまでには時間を要するのでは」と疑問を呈した。さらに、議論の中で、プラットフォーマーに個人情報を吸い上げられることと利便性のトレードオフになることについても言及した。

図1 旅行のアドバイス、予約
図1 旅行のアドバイス、予約
図2 自動車保険の見積もりと申込み
図2 自動車保険の見積もりと申込み
図3 夕食のお買い物
図3 夕食のお買い物


EXの観点では、「WFM(ワークフォース・マネジメント)の最適化」「教育の最適化・スキルグループの変更」への活用を検討。この検討においても、データ連携の重要性が唱えられ、オペレータやSVが持つ「暗黙知」をいかに「形式知」に変え、AIに取り込んでいけるかが、成功のカギになることが示唆されたが、「実現のスピードはCXの例よりも早いのでは」と意見が一致した。

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会員限定2025年05月02日 16時00分 公開

2025年05月02日 16時00分 更新

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