コラム
第149回
Webページを開いたとき、画面右下にチャットボットが現れることがある。何回か利用してみたが、有益な情報を得られないため、最近ではそのまま閉じることが多い。だが、また同じ画面が上がってくる。
電話で聞きたいため、電話番号を探してWebサイトの中をクリックしていると、FAQに導かれたが問題解決しなかった。電話番号も見つからず、結局諦めてしまったこともある。Webサイト内で迷っていると、ユーザー訪問ごとのPV数、つまり回遊率が上がるため、サイト運営者には私が良い行動のように誤解されてしまうかも知れない。
通販サービスを継続しない場合や解約手続きについて、電話のみで受け付ける会社がある。ユーザーを騙すようなWebサイトの表記やデザインをダークパターンというが、解約手続きの電話がつながらないようなケースもダークパターンに該当する。
企業には、電話やメールに始まり、チャットボットや有人チャット、最近ではボイスボットなど、さまざまなコンタクトチャネルがある。どのようなシーンで、どのチャネルを使うといいのかは、企業が決めるべきか、利用者が決めるべきか。
もし、新たな顧客チャネルを開設したいならば、顧客から見て自社へのコンタクトチャネルに、どのようなバリエーションがあるのか、まずは現状を調べてみるとよい。必要以上に数多くの電話番号が残っているケースがある。電話番号の維持費は安いと思うかも知れないが、利用者が古い電話番号に架けてしまい、別の番号を案内されているとすると、双方の不利益でしかない。どのような媒体に電話番号が掲載されているのか分からないこともあるため、入電時に電話番号を知った経緯を尋ねてみるのもいいだろう。どのようなシーンにおいて、どのようなコンタクトチャネルが存在するのか。FAQやIVRのメニューは使いやすいか。代理店や販売店経由も含めて棚卸しをする。所属する団体名簿として電話番号が公開されていることもあるし、ネット検索で古い番号がヒットすることもあるだろう。調査には相当な労力がかかるかも知れないが、これを作成すると、新しいコンタクトチャネルが問題解決の近道になるとは限らない、と気付く。現存するコンタクトチャネルの整理や改善をするだけで効果が大きい。
住所変更などWebでできる手続きや問い合わせ対応について、オペレータ対応でなく、Webページで自己解決してほしいのであれば、まずはWebページの利便性を高めるべきである。使いやすい機能と分かりやすい説明を徹底してほしい。そうすれば電話は自然に減っていく。呼量削減は目標でなく結果である。Webで手続きができるにもかかわらず、あえて電話などの有人対応を希望する利用者には、有料メニューを提案するのもよい。デジタルチャネル利用を強要するのはいかがなものかと思う。
個人の携帯電話番号を患者に伝えている外科医がいる。いつでも電話していいと言う。患者の生命のことを第一に考えていると感じるし、患者のことを信頼もしている。だから、セールスの電話が架かってくるということもないのだろう。1人の医師ができるのに、企業ができないはずがない。
2024年08月20日 00時00分 公開
2024年08月20日 00時00分 更新
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