コラム
第148回
出張でドイツに行った。ドイツというと、規律正しく、計画性と効率性を重んじるという印象がある。ドイツ鉄道に乗る機会があったのだが、駅に改札がなかった。自動販売機で乗車券を購入し、別の機械で切符に日付と時刻を印字してもらって乗るという仕組みである。車掌が巡回しており、無賃乗車が見つかれば罰金が60ユーロということらしい。私は、駅で切符を買おうとしたのだが、運賃ルールが分からなかったので窓口の駅員を探した。しかし、どこにもいない。結局、ネット検索をして日本人が書いた情報サイトを参考に近距離の切符を買い、切符に打刻して無事に乗車できた。
あくる日、長距離区間を利用するとき、問題が起きた。航空会社を通じてネット上で乗車券を購入していたため、前日にWebでチェックイン操作を行った。いわゆる乗車時の改札と同じことが必要なのである。しかし、何回操作しても途中でエラーになり次の画面に進めない。航空会社、鉄道会社、いろいろと電話をしたのだが解決しない。電話の先でもエラーの事象は確認してもらえたが、対処方法は分からないという。このようなエラーは見たことがないという口ぶりだ。大きな駅の場合、カスタマーサービスの窓口があるので、最後の方法として、そこに行って聞いてみてほしいというアドバイスだった。次の日、カスタマーサービスがオープンする9時前に窓口に並んだ。ちなみに、私が乗る電車は9時18分発である。私の後ろには10人くらいが並んでいた。同じような境遇の人がこんなにいるのかと思いながら、窓口のオープンと同時に相談した。しかし、ここでも分からないと言われた。電車に乗ると係員がいるから聞いてほしいという。信用しがたいアドバイスであったが、やむを得ず、そのまますぐに乗車した。案の定、係員が巡回している。指摘されるより先に自ら係員に声をかけたところ、「ああ、問題ありません。次回はWebでチェックインして下さいね」とあっさり。肝を冷やしたが、何も問題は起きなかった。結局のところ、Webでチェックインエラーになった理由は分からないままである。
日本の首都圏の駅では、自動改札機が当たり前で、改札脇にはサポートする駅員がいる。自動改札機を不正に通過する人を監視する役割もあると思うが、基本的には、何らかの事情で自動改札を通れなかった人へのサポートをしている様子を見かける。私自身も読み取りエラーのときに駅員に操作してもらったことが何回もある。コンビニやスーパーのセルフレジにも、サポートする店員がいることが多い。一方、完全な無人店舗の場合、24時間販売できるが窃盗事件も起きている。時代を席巻したAmazon GOは、都市部で閉鎖しているらしい。
ドイツ鉄道の仕組みは、とても合理的だと感じた。しかし、例外的な事象に対して、人がサポートする体制は必須ではないだろうか。自動化や機械化が進む中、例外的なケースがサイロ化され、分かりづらくなっているだろう。それゆえに、サポートする人に、より高い知識が求められている。
ところで、皆さんが利用するチャットボットに、有人チャットによるサポートは付いているだろうか。
2024年07月20日 00時00分 公開
2024年07月20日 00時00分 更新