要約/ボット以上の成果を生む 生成AIがもたらす「マネジメント改革」

2024年8月号 <特集>

特集

要約/ボット以上の成果を生む
生成AIがもたらす
「マネジメント改革」

Part.1 <現状と課題>

現場に“時間と余裕”をもたらす──
生成AIで実現するSVの「経営資源化」

コールセンターでの生成AI活用の一丁目一番地となったのは、「VOCの要約」だ。オペレータの業務負荷軽減、ACW(対応後の後処理業務)の短縮や記録されるログの品質向上・平準化がもたらす効果は確かに大きい。また、人手不足が喫緊の課題なだけに、次いでチャットボットが耳目を集めつつあるが、生成AIの効果とは、コミュニケーションの自動化や省力化にとどまる存在ではない。使い方次第では、マネジメントやオペレーションの自動化も可能だ。実現の鍵を握り、かつ、より高い経営貢献もできる存在となりうる「SV」の業務改革を提言する。

 コールセンターにおいては、生成AIの活用によってさまざまな業務の自動化が期待できる。大きく分けると、(1)オペレータの対応業務であるコミュニケーションの自動化、(2)FAQやレポーティング、VOC集計や分析などのオペレーションの自動化、(3)モニタリングや評価、シフト作成などのマネジメントの自動化の3領域だ()。

 現段階では、(1)と(2)の一部に耳目が集まり、とくに人手不足解消のための(1)に対する期待値が大きいが、実は(2)と(3)の自動化がもたらす効果は相当に大きいと考えられる。とくに、コールセンター運営の肝心カナメとされるSV業務の支援や一部自動化は、その「人財」の有効活用を視野に入れれば、大きな経営貢献を生む可能性が高い。本特集では、SV業務の生成AI支援を軸に、SVのリスキリングまで提言する。

図 コールセンターの仕事、3つの「自動化」
図 コールセンターの仕事、3つの「自動化」

Part.2 <座談会>

生成AI活用の現在地と未来像
普及のトリガーは「現場にAI人材を作る」教育

生成AIはコールセンターのマネジメントをどのように変えるのか。Part2では、AI市場を代表する識者の野口竜司氏、三井住友信託銀行でグループ全体のコンタクトセンターに生成AI導入を推進する尾塩真平氏、LINEヤフーコミュニケーションズのAI運営部部長・個人でAIエバンジェリストとして活動する加藤敏之氏らで座談会を実施。生成AI活用の現在地と、コールセンターのマネジメント業務における活用の可能性、普及のトリガーを聞いた。

<出席者>(順不同)

野口 竜司 氏
野口 竜司
ELYZA CMO /
三井住友カード Head of AI Innovation
ZOZO NEXT 取締役CAIOやZホールディングス Z AIアカデミア幹事を経て現職。大手企業向けのAI戦略/企画策定やAIプロジェクトのHands-onなどのコンサルティングを提供。とくに文系AI人材の育成支援を実施。著書に「文系AI人材になる」など。
尾塩 真平 氏
尾塩 真平
三井住友トラスト・ホールディングス 兼 三井住友信託銀行
経営企画部 デジタル企画部
主任調査役 ビジネスデザインセンター
ジェネラルマネージャー
コンサルティングファーム、BPO会社などで主に海外事業に従事し、2021年11月より三井住友信託銀行に参画。コンタクトセンター高度化PTを経て、本年度よりCX高度化PTにてDX化を担当。
加藤 敏之 氏
加藤 敏之
LINEヤフーコミュニケーションズ
AI運営部 部長
コンサルティング会社、通販会社を経て、2014年にLINE Fukuoka(現 LINEヤフーコミュニケーションズ)入社。エンジニア・コンサルタント・カスタマーサポート、AIを活用した社内DX推進、カスタマーサポート責任者を経て、現在はAIサービスの運営部署の責任者。個人でも「AIエバンジェリスト」としても活動、社内外でAIセミナーを実施。

<モデレータ> コールセンタージャパン編集部

──今日のテーマはコールセンターにおける「生成AI活用の現在地」「マネジメント活用の可能性」と、実現する具体的なアプローチです。自己紹介からお願いします。

野口 KDDIグループ内の生成AIスタートアップであるELYZAでCMO、三井住友カードでHead of AI Innovationを務めています。AIビジネスの推進や文系AI人材の育成など、AIの社会実装に向けて書籍や講演、研修などさまざまな情報発信をしています。

尾塩 三井住友トラスト・ホールディングスおよび三井住友信託銀行に所属しており、デジタル企画部 CX高度化プロジェクトチームで主任調査役を務めております。グループ全体のコンタクトセンターで生成AIをどのように活用し、高度化させるのか、研究・推進しています。

加藤 LINEヤフーコミュニケーションズAI運営部の部長です。AI運営部は、ビジネスユーザー向けに外販しているチャットボットやボイスボットなどのテクニカルサポートやカスタマーサクセスにおける活用、精度検証やアノテーションなどを行う部門です。私自身は、従来カスタマーサポートのオペレータ・SVを経験したこともあります。生成AIは社内研修や独学で学び、現在は、自部署のカスタマーサクセス、テクニカルサポートのスタッフに「生成AIとは何か」を教育する役割も担っています。

──現時点で、生成AIは社内のどのような業務で活用していますか。

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2024年07月20日 00時00分 公開

2024年07月20日 00時00分 更新

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