米国ニュージャージー州に本拠を置くNICEの日本法人 ナイスジャパン(東京都港区、Olivier Georlette/オリビエ・ジオレット社長)は2024年3月、提供中のクラウド型コンタクトセンターツール「NICE CXone」のデータセンター「大阪リージョン」を開設した。同社の日本国内におけるデータセンターは東京に次ぎ2拠点目となる。CXoneの BCP (事業継続計画、Business Continuity Plan)に基づき、CXoneのクラウドインフラにおける耐障害性の強化を図る。
ナイスジャパン日本法人社長のオリビエ・ジオレット氏
今回の発表に先立ちオフラインでの記者会見を開催。会見冒頭でジオレット氏はNICEの歴史に触れつつ、直近の自社クラウド事業の成長について言及。同氏はNICEの戦略的基盤として、「アナリティクス」「分析」「クラウド」「AIと自動化」を挙げた。そのうえで、日本を事業拡大のための主要市場と位置づけ、今回の大阪リージョンの開設に関して、「日本国内の導入企業向けに、一貫した安全なCX・AI技術の提供が狙い」と説明した。
ソリューションコンサルタントディレクターの山崎彰一氏
「CX one」マルチリージョンによる地理的冗長の運用
続いて、ソリューションコンサルタントディレクターの山崎彰一氏が、今回の大阪リージョンの開設について上図に基づき解説。山崎氏は、「CXoneは従来、音声サーバーは東京と大阪のデータセンターに配置していましたが、アプリケーションを構成しているIaaS(Infrastructure as a Service)は東京の複数インスタンスによる冗長化のみでした。近年は災害対策への機運の高まりから、BCP対策に基づいたシステム構築の要望が増えています。そこで、IaaSの拠点を新たに構築することで、音声サーバーとアプリケーションの両面でのBCP構築を図りました」と説明。基盤はネットワークオペレーションセンターでの「24×365」監視体制で、東京で広域障害が発生した際には、新設の大阪リージョンにログインして業務継続することが可能で、利用企業に通知のうえで復旧にあたるといった形だ。CXoneについて山崎氏は、「コンタクトセンターに必要な機能をアラカルトで選んで従業課金で利用できるオールインワンのサービス」と強調。音声ソリューションとしての強化を第1ステップとしたうえで、第2ステップとしてAIボイスボット、生成AIを活用したリアルテキスト要約や翻訳といったオペレーション支援機能などの拡充に取り組む方針を示した。
セールスディレクターの島田宏巌氏
最後に、ナイスジャパンでセールスディレクターを務める島田宏巌氏が、同社の事業戦略を説明。同社は通話録音を主力事業とする印象が強いが、近年は「CX」「CPaaS」「金融犯罪コンプライアンス」「パブリックセーフティ」の4領域にも注力していると強調。R&D(研究開発)と買収を重ねてソリューションの拡張を進め、カスタマーセントリック(顧客中心主義)なイノベーションに取り組んでいくことを示唆した。さらに2024年2月の決算発表に基づき、今後も戦略的な事業遂行を推進する考えを示し、講演を締めくくった。
2024年03月11日 16時40分 公開
2024年03月11日 16時40分 更新