IT

2024年2月号 <キーパーソン>

Salesforce ライアン・ニコルス 氏

生成AIが真価を発揮する活用シーン
“徹底的な1to1対応“の支援を強化

パーソナライズ対応が求められる現在、Salesforceのカスタマーサービスプラットフォーム『Service Cloud』は、生成AIの活用をはじめオペレータを強力支援する機能の拡充を進めている。同製品の責任者であるライアン・ニコルス氏に、日本市場における機能強化のロードマップについて聞いた。

ライアン・ニコルス 氏
Salesforce
SVP Product Management, Service Cloud
ライアン・ニコルス
Ryan Nichols
PROFILE
『Service Cloud』のリーダーとして、「AI」「データ」「CRM」「信頼(データセキュリティ)」の4軸をベースとした体験の提供に務める。これまで、5つのスタートアップ企業と4つの業界大手で、企業が顧客とエンゲージするための製品の構築・成長に貢献してきた。

──コンタクトセンターを取り巻く環境の変化をどう見ていますか。

ニコルス 世界共通で顧客の“わがまま化”が進んでいます。当社が毎年実施しているグローバル調査では、73%の消費者が「独自の要求を満たすことを求めている」という結果が出ました。一方で、「パーソナライズ対応の実現」を課題としているコンタクトセンターが大半を占めていることもわかりました。

──課題を踏まえて、『Service Cloud』の進化の方向性を教えてください。

ニコルス オペレータが1つの画面ですべての必要な情報を閲覧できる「Single pane of glass」を基本コンセプトとしてアーキテクチャを拡大し、電話も含むチャネルのデータ連携やAI活用を進めてきました。その次の段階として、AIを活用した「効率的かつパーソナライズした応対の実現」「セルフサービスの強化」といった機能強化を図っています。

──具体的には。

ニコルス 「効果的なAI活用には、良質なデータが不可欠」という考えのもと、企業のなかに散在している顧客データと連携し、それらがあたかも1カ所にあるかのように利用できるデータ基盤『Data Cloud』をローンチしました。これを、生成AIを活用したアシスタント『Einstein Copilot』の情報源とすることで、オペレータが受けた問い合わせに対し、コンテキスト情報のすべてを加味して、パーソナライズした回答案を提示することが可能になります。

──日本においては、生成AI活用について情報セキュリティを懸念する企業は少なくないと思います。

ニコルス 生成AI活用を推進するうえで、“データの取り扱い方、向き合い方”も見直しました。クラウドインフラ上にAIアーキテクチャ『Einstein Trust Layer』を構築し、顧客情報をマスキングして、外部のLLM(大規模言語モデル)には渡らない仕組みを用意しています。日本のコンタクトセンターからも活用に前向きな声があがっています。

──日本語版の機能強化のロードマップを教えてください。

ニコルス 生成AI活用については、2023年12月15日に、オペレータ支援機能としてチャットの回答レコメンド機能と対話内容を要約する機能をリリースしました。現在は、2024年春をめどに両機能をほかのチャネルでも利用できるように開発中です。自動化の進展によって、オペレータが受ける問い合わせは複雑かつ高度なものが中心になりつつあります。それらに対して、パーソナライズしたケアを届けられるよう、“オペレータに寄り添う機能”の強化を進めていく方針です。

2024年01月20日 01時21分 公開

2024年01月20日 01時21分 更新

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