2024年1月号 <特集>

「CX」改革の道程と将来像

特集扉

ベストプラクティスの歴史に見る
「CX」改革の道程と将来像

Part.1 <CX向上の「3大要素」>

問い合わせ窓口から「司令塔」への進化
事例に見るセンターの“戦略拠点化”の道程

2000年代はCRM拠点、そして音声インフラのIP化。2010年代は「カスタマーエクスペリエンス(CX)」の向上とオムニチャネル化。そして2020年代は、カスタマーサクセスの実現と生成AI活用──。さまざまな課題に取り組み、新たな技術要素を取り込んできたコールセンター。300号の積み重ねた歴史を踏まえ、目下の最大のテーマであるCX向上施策について検証する(CaseStudyは、掲載時の情報をもとに再編集)。

 2000年代はCRM拠点、そして音声インフラのIP化。2010年代は「カスタマーエクスペリエンス(CX)」の向上とオムニチャネル化。そして2020年代は、カスタマーサクセスの実現と生成AI活用──。さまざまな課題に取り組み、新たな技術要素を取り込んできたコールセンター。とくにコロナ禍以降は、消費行動のデジタルシフトや深刻化する人手不足を背景に、マネジメント改革の遂行を余儀なくされつつある。

 本特集のPart.1では、顧客がコールセンターにコンタクトする前・コンタクトしてコミュニケーションしている間、顧客対応後の3フェーズに分類し、過去1年間に掲載してきた事例をマッピング。特徴的な事例記事を再編集して収録している(図1)。

 もともと、BtoBやBtoCを問わず、顧客接点においては、顧客が困った際の「最後の砦」──言い換えればカスタマージャーニーマップにおける“大トリ”に位置づけられているコールセンター。顧客が商品やサービスを利用する際のペインポイント(痛点)も最も早く把握でき、かつすべてのチャネルにおけるネガティブな体験を、コミュニケーションでリカバリー可能な部署でもある。コロナ禍が収束した今、この役割や機能を左右し、大目的であるカスタマーエクスペリエンス向上のための要素として、顧客対応の一貫性を維持する「オムニチャネル」、コミュニケーションからオペレーションまでセンター運営をすべて改革できる「生成AI」、顧客との関係をさらに深化、離反抑止や拡大利用をもたらす「カスタマーサクセス」の3つをあげ、Part.2以降で検証する。

図1 主な顧客対応前・対応時・対応後の改善事例

図1 主な顧客対応前・対応時・対応後の改善事例

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CASE STUDY 1:三井住友カード
ボイスボットでWebサポートに誘導
問い合わせる前の問題解決を強化

CASE STUDY 2:SOMPOひまわり生命保険
オンライン接客で新しい顧客体験を創出
電話だけでは不十分な“深い対話”を実現

CASE STUDY 3:ベネッセコーポレーション
80種類のテンプレートとデュアルモニタを活用
チャットの「1対3」対応でミス防止

CASE STUDY 4:JR西日本カスタマーリレーションズ
電話・メール対応の要約に生成AIを活用
後処理業務・VOC活用の精度向上を目指す

 

Part.2 <キーマンインタビュー>

オムニチャネル、生成AI、カスタマーサクセス
顧客接点の未来を照らす3つのキーワード

マルチチャネルから「オムニチャネル」対応へ、ルールベースのAIから「生成AI」へ、顧客の問い合わせに対応、その場での満足を高めるカスタマーサポートから、中長期的な視点で継続的な関係強化を最優先した「カスタマーサクセス」へ──。コロナ禍を経て、さまざまな変化と進化の必要性に迫られている顧客接点。それぞれのキーワードついて、キーマン3名に現状と課題、今後を語ってもらった。

インタビュー 1:オムニチャネル

「真のオムニチャネル」実践へ──
カギ握る“まとめ役”としてのCX部門

逸見 光次郎 氏

逸見 光次郎 氏
CaTラボ 代表
日本オムニチャネル協会理事

 「オムニチャネル」というキーワードの出現から10年以上が経過しました。さまざまなチャネルが登場するなか、ユニークなひとつの顧客軸のID──メールアドレスや電話番号など──をもとに、あらゆる業務システムのデータを統合する動きは、徐々に普及しています。

 データを連携し、チャネル問わず同じ体験を提供する。コールセンターは、その取り組みにおいて「ゴールキーパー」的な役割を果たす重要な部門です。コールセンターでのサポートがスムーズに提供できることで、次の購買につながる可能性は高い。継続利用までを見据えたダブルファネル・マーケティングの肝心カナメの存在ですが、まだまだチャネルが分断されていて、結果的に満足なサポートが提供できていない企業が多いと感じます。

 ポイントとなるのは、組織です。社長直下の組織として「カスタマーエクスペリエンス本部」的な束ねる部署にリソースを集中すべきだと思います。

インタビュー 2:生成AI

「プレ・シンギュラリティ」時代の幕開け
AIは人間ひとりの知能を超え実用段階にある

野口 竜司 氏

野口 竜司 氏
ELYZA CMO
三井住友カード Head of AI Innovation
ディープラーニング協会 人材育成委員

 シンギュラリティ、つまり「人工知能の性能が全人類の知能を上回ると見込まれる時点」は、かつて2045年に到来すると言われてきました。現在、そこまでは至ってはいませんが「1人の教育を受けた人間の知能を超える」、プレ・シンギュラリティに入ったことは確実です。

 今年、最も大きかった変化はテキスト・画像・音声・動画など、複数の種類のデータをまたがって処理できる「マルチモーダルAI」の登場です。ビジュアル面も含めた処理が可能となり、人間が行う多くのユースケースをカバーできるようになっています。

 市場全体を俯瞰すると、プラットフォーマーがOpenAI一強という状態ではなくなりはじめています。Meta(旧Facebook)やGoogle、Appleと、次々に高い精度の生成AIを発表、これに伴いアプリケーションレイヤーを提供する企業も次々に対応を発表するなど、非常に俊敏な動きをしています(図2)。それほど時間を待たずに多くのプラットフォーマーが追随していくものと見ています。

図2 GPT時代のAI(言語AI)

図2 GPT時代のAI(言語AI)

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インタビュー 3:カスタマーサクセス

サブスク時代の「顧客との関係構築」を担う
“カスタマーサクセス×サポート”の未来像

山田 ひさのり 氏

山田 ひさのり 氏
Sansan Sansan事業部 カスタマーサクセス部
カスタマーサクセスストラテジスト
sasket 代表社員

 モノが十分に満たされた社会において、顧客が真に望むモノを提供し続けるには、(概念としての)カスタマーサクセスで顧客をリードする必要があるのです。現在は、「使った分だけ支払う」ビジネスが普及し、プロダクト完結型からサービス全体を提供するリカーリング、サブスクリプションビジネスへと産業構造が変化しています。

 カスタマーサクセスの登場から現在に至るまでの大まかな役割の変遷が図3です。登場した当初は、オンボーディング(利用開始までのステップ)などのナーチャー(教育)のみで、自然とアウトカム(成果創出)につながるものと解釈されていました。ところがそれだけでは、実際には顧客が自力でアウトカムにたどり着けるのはわずかで、大半の企業はアウトカムに結びつけることができませんでした。そこで、カスタマーサクセスに新たに「アウトカムを実現する」役割が付与されました。

 ナーチャーとは、顧客側の体制づくりの支援、オンボーディング、機能の紹介、セミナーやレクチャーによる使いこなしのフォローなどのことです。ほとんどは型化できるので労働集約的な業務に分類でき、どちらかというとホスピタリティの強い人が向いている業務です。一方のアウトカムは、成果を達成できるようKPIマネジメントすることが主な業務。ときには顧客の“教育者”として厳しいことも言う必要があります。

 こうした適性から、今後はアウトカムとナーチャーは二分され、前者がポストセールス〜カスタマーサクセスに、後者はカスタマーサポートに役割が変わっていくのではないかと見ています。

図3 組織における役割分担

図3 組織における役割分担

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Part.3 <ニューリーダー座談会>

3名のロールモデルに聞く!
「センターマネジメント」「CX」「キャリア」

コンタクトセンターに限らず、高い評価を得る組織には優れたリーダーが必ず存在する。創刊以来、さまざまなリーダーが誌面に登場した。生成AIの登場に湧くカスタマーサービス市場において、BtoB、BtoC、CtoCの各業界を代表するニューリーダー3名に、コンタクトセンターや顧客接点に関する課題、この先のあるべきサポート体制、自身が描くコンタクトセンターの未来とキャリアについて聞いた。

出席者(順不同)

大貫 竜平 氏

大貫 竜平 氏
STORES
ビジネスオペレーションズ部門
オペレーションズ本部 シニアマネジャー

菊池 美緒 氏

菊池 美緒 氏
ジャパネットコミュニケーションズ
執行役員

山田 和弘 氏

山田 和弘 氏
メルカリ
Japan Region Trust and Safety
Director of TnS Ops&Ops Program

 BtoB、BtoC、CtoCの各業界のカスタマーサポート(CS)を牽引するリーダー3人が、それぞれの立場で討論した。

 コンタクトセンターや顧客接点に関する課題、この先のあるべきサポート体制、自身が描くコンタクトセンターの未来とキャリアについて語った。

 長年サポートに携わるなかで、CSへの変化を感じるという。単なる「顧客問い合わせ窓口」から、カスタマーエクスペリエンス(CX)向上を、体現する戦略拠点に転換を図っている。また、その変化は、顧客接点にも影響を与え、さまざまな応対のあり方が生まれている。自動化ツールの活用も進み、自己解決の促進を図るべきと考えられがちだが、顧客の要望と自社の考え方に合致した応対をとるべきとの認識を各リーダーは示した。

 
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2024年01月31日 18時11分 公開

2023年12月20日 00時00分 更新

CX

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