2023年12月号 <インタビュー>

ゴルフダイジェスト・オンライン 志賀 智之 氏

志賀 智之 氏

目標はサイト上に「気の利く優秀な店員」を置くこと──
徹底したデータ活用で1to1を極める!

ゴルフダイジェスト・オンライン
執行役員 CMO/CIO
志賀 智之 氏

緻密なデータ分析によるCRM施策で成長を続けるゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)。顧客行動を読み解き、絶妙なタイミングでコンタクトを取り、顧客体験を最大化する。あらゆる顧客データを紐づける盤石なIT基盤のCDPと、連携するITソリューションの活用ポイントを、CX施策の旗振り役である志賀智之氏に聞いた。

Profile

志賀 智之 氏(Tomoyuki Shiga)

ゴルフダイジェスト・オンライン 執行役員 CMO/CIO

2008年入社後IT戦略室長などを歴任し、UXD本部長を経て現職。効率よくデータを活用できる環境と組織を整え、フルファネルでのマーケティングを徹底した結果、役員就任以降会員数は150%に増加。顧客基盤の拡大とともに、ユーザー体験を中心としたコミュニケーション設計によって売り上げの連続成長に寄与している。

──コロナ禍では3密を避けられるとゴルフ人気が高まりました。

志賀 ゴルファー向けに各種サービスを展開する当社でも、会員プログラム「GDOクラブ」の登録者数が急増しました。会員数は約551万人(2022年9月末時点)に達しています。経済産業省の調査では、21年のゴルフ場来場者数は、前年に比べて約130万人増の1025万人超えを記録。当社の同年12月期の売上高は395億9400万円(前年比17.5%増)、営業利益は17億円(同103.4%増)と過去最高益を生みました。

──コロナ前との顕著な違いは。

志賀 20代が中心の若年層と、女性会員が増加。その結果、20〜30代が全体の43%を占めるまでになりました。

 コロナ禍では、この層のECでの購買行動が活発で、ウエアや小物系の売れ行きが好調でした。ファッションも含めてゴルフを楽しみたいという、世代ならではの特性が顕著にあらわれています。ゴルフは“おじさんのスポーツ”と言われるだけあって、年齢層は高め。若い世代の獲得は、業界全体が存続するための課題です。獲得できたこの層を保持する施策を講じています。

──アプローチ方法は。

志賀 会員登録情報からも、初心者が大半だと分かっていますから、初心者向けのコンテンツを増やす、ゴルフスクール事業を拡充するなどしています。Webサイトを、若い方を意識したデザインに刷新したりもしています。

──顧客データの活用はいつから。

志賀 本格的には、13年にデータベースを活用する部署のお客様体験デザイン(以下、CXD)本部を設立した頃です。私はGDOにIT戦略担当として入社をして、G10プロジェクトという各事業のシステム刷新などを経験しました。CRM構築は未経験でしたが、システムとそれに紐づくデータを把握していたこともあり、CXD副本部長として現場の指揮を任されました。

顧客中心主義のためには
縦割りではなく横展開

──CXD本部の役割とは。

志賀 顧客データを利活用して顧客体験の価値と、顧客満足度を上げる“顧客中心主義”を徹底する組織です。あらゆる顧客データを、各事業部が業務に活用できるように整備をする。また、各事業部と一緒に販促やサイト、コミュニケーションの改善を実施して、顧客体験の向上を推進してきました。各所と連携しながら業務を進めるために、横串の組織体制で顧客中心を志向。CDP(カスタマーデータプラットフォーム)を構築するために、基幹システムや顧客データを統括する情報システム部との結びつきも強めました。

──体制作りで気を配った点は。

志賀 “ともに目標を達成する意識”を持つこと。そして、各部門の権限を明確にすることが、関係構築のポイントでした。CXD本部はデータを扱うため、コンサルティングから実務までを手伝ってくれる部署といった認識を持たれがちです。購買行動に関する傾向を、データで示すことはできても、商品の仕入れ量を決めるなどの実務は、事業内容を理解している担当部署にしかできません。ですから、各々の役割や立場を明確にしました。また、データを扱うことから、情報システム部門とは、軋轢を生まないように配慮をしました。

(聞き手・荒木世理子)
続きは本誌をご覧ください

 

2024年01月31日 18時11分 公開

2023年11月20日 00時00分 更新

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