2023年8月号 <第2特集>

コールセンター利用者調査2023

第2特集扉

コールセンター利用者調査2023
900人のカスタマーエクスペリエンス

「エフォートレス×エモーショナル」の業務設計
求められる“つながる前のCX”と“人間味ある対応”

コールセンターの至上命題である“CX(カスタマーエクスペリエンス)向上”。その実態を明らかにすべく、編集部では通信販売、携帯通信、生損保会社、クレジットカードの4業種のコールセンターにおける“顧客体験”について、900人を対象に消費者調査を実施した。結果を受けて、接続品質、応答品質、解決率、ホスピタリティの現状を検証、具体的な解決策などを有識者らに聞いた。

 月刊コールセンタージャパン編集部は毎年、「過去1年間にコールセンターを利用した消費者」を対象にアンケート調査を行っている。今年は5月下旬に900名にネットリサーチを実施。昨年同様、対象としたのは、通信販売、携帯電話会社、生命保険/損害保険、クレジットカードの4業種のコールセンター利用者。

 問い合わせ前の行動、センターの接続品質、応対品質、満足度、不満足度などを聞いた。回答者は、男女比のみを50:50で抽出する他は、職業その他での条件を設けていない。その結果、年々「コールセンターに電話で問い合わせをする層が高齢化している」という実態が明らかになっているが、今年はさらにその傾向が顕著だ。昨年38.4%だった60代以上は、今年43.3%に上昇(図1)。通信販売に至っては、56.3%を60代以上が占めた。

図1 年齢層

図1 年齢層

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 実際にコールセンターに電話をかけた際の接続品質を聞いたのが図2だ。「すぐに電話がつながった」割合は50.8%。昨年の52%から微減しているものの、ほぼ変わりはない。最も変化が大きかったのは生損保業界だ。事故など緊急対応窓口も含まれることから、例年、比較的高い品質で推移してきたが、「すぐに電話がつながった」という回答は昨年の75%から64.5%に低下している。コロナ禍で保険金請求などに関する問い合わせが増えたことで、処理件数の増加とAHT(平均対応時間)が延びた結果、接続品質が低下している可能性がある。一方で、携帯通信とクレジットカードは、改善傾向が見られた。携帯電話各社は、一時的に店舗の営業時間を短縮、事前予約制にしていたことからセンターへの問い合わせが増え、昨年は接続品質が低下していた。しかし、今年4月には最大手のNTTドコモが事前予約なしでの店舗対応を再開、電話での問い合わせが減ったと想定される。なお、接続品質が売り上げに直結する通信販売は、51.7%と昨年より低下したもののほぼ横ばい傾向だ。

図2 直近でコールセンターに電話したとき、すぐに電話がつながったか

図2 直近でコールセンターに電話したとき、すぐに電話がつながったか

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 このほか、接続品質、応答品質、解決率、ホスピタリティの現状を検証。待ち時間を解消する工夫や、電話窓口有償化における説明で押さえるべきポイントなど、具体的な対策を識者らに聞いた。

インタビュー

求められる“待ち時間”を解消する工夫
ポイントは「自動化」「有償化」を踏まえた業務設計

デロイト トーマツ コンサルティング ディレクター 高橋 周平 氏

 

2024年01月31日 18時11分 公開

2023年07月20日 00時00分 更新

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