AICX協会、AIエージェントの社会実装と顧客接点の再定義をテーマにカンファレンス開催

一般社団法人AICX協会(東京都新宿区、小栗伸代表理事/小澤健祐代表理事)は2026年5月19日、CX領域のAI企業6社と共同で「AICX Frontier 2026 〜AIエージェントの社会実装と、顧客接点の価値再定義〜」を東京・渋谷スクランブルスクエアで開催した。

AIエージェントが実証・検証の段階を超え、実装と市場拡大のフェーズへ移行するなか、コンタクトセンターをはじめとする顧客接点領域でのAI活用が急速に進んでいる。本イベントはその現在地を業界横断で共有し、今後の顧客接点のあり方を議論する場として企画された。

プログラムはキーノートセッションと3本のパネルディスカッションで構成。「社会実装」「VOC経営活用」「人材・組織育成」の3つの軸から、AIエージェントがもたらす変化と、コンタクトセンターの役割進化について議論が交わされた。

AICX協会代表理事の小澤建祐氏

 

キーノートに登壇したAICX協会代表理事の小澤建祐氏は、コンタクトセンターの可能性を力強く論じた。チャットボットや音声認識といったAI技術が広く認知される以前から、コンタクトセンターは顧客接点におけるテクノロジー活用の最前線に立ってきた。そうした実践知とVOCの蓄積こそが、AIエージェント活用の強みになると小澤氏は説く。

そのうえで同氏は、マーケティング、営業、コンタクトセンターの部門間に存在する分断を、構造的な課題として提起した。顧客の生の声を最も多く蓄積しているコンタクトセンターが、依然として業務フローの末端に位置づけられている現状に触れ、「その壁を崩すのがAIエージェントだ」と強調。AIエージェントを「考え、動き、つなげる自律的な仕組み」と定義し、VOCの宝庫であるコンタクトセンターこそ、AIエージェント活用に最も適した領域であると述べた。 

将来的には、コンタクトセンターが「CXハブの司令塔」として営業・マーケティング部門を巻き込み、経営データの発信源になり得るとの展望を示した。AI活用の主役は技術そのものではなく、顧客接点を熟知する現場にあるとし、「コンタクトセンターこそが最大の武器だ」と締めくくった。

左から、AICX協会代表理事の小澤建祐氏、株式会社AI Shift AIコールセンター事業統括執行役員の田島努氏、Gen-AX代表取締役社長CEOの砂金信一郎氏、IVRy代表取締役CEOの奥西亮賀氏、RightTouch代表取締役の長崎大都氏

 

続くパネルディスカッションでは、3つのテーマに沿って実践的な議論が展開された。第1セッションでは、AIエージェントの社会実装をテーマに、PoCで取り組みを終わらせないためのROI設計の重要性が議論された。単なる技術検証にとどめず、業務成果や顧客体験の向上にどう結びつけるかが、導入を成功させるうえでの重要な論点として挙げられた。

左から、AICX協会理事の山﨑陽平氏、モビルス/vottia代表取締役社長の石井智宏氏、IVRy代表取締役CEOの奥西亮賀氏、RightTouch代表取締役の野村修平氏

 

第2セッションでは、VOCの経営活用をテーマに議論が交わされた。VOCの対象は、コンタクトセンター部門への問い合わせにとどまらない。Web上の行動ログやカスタマージャーニー全体に広がっており、顧客理解のためのデータとして、より広範に捉える必要があるとの見方が示された。 

左から、AICX協会有識者理事の神川陽太氏、カラクリ代表取締役CEOの小田志門氏、モビルス/vottia代表取締役社長の石井智宏氏、株式会社AI Shift AIエージェント事業部チーフエバンジェリストの及川信太郎氏

 

第3セッションでは、人材・組織育成をテーマに、データ基盤の整備と部門横断的な組織体制の構築が前提条件として挙げられた。とくに、AIエージェントを現場に定着させ、CX改善につなげるには、EX(従業員体験)を高める必要があるとの意見も多く出た。 

コンタクトセンターが「コスト部門」から「価値創出の拠点」へと転換する潮流は、もはや議論の段階を超えつつある。本イベントは、その変革を現場から設計するための実践知を、業界横断で共有する機会となった。AIエージェントの社会実装が本格化する2026年、コンタクトセンターの役割変革はさらに加速していくことになりそうだ。

2026年05月21日 09時14分 公開

2026年05月21日 09時14分 更新

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