
入社時から「店長になる」と公言し続けた茅乃舎の藤 舞花さん。その言葉通り、晴れてJR大宮駅構内のエキュート大宮店 店長に就任したのが2024年。出身地の福岡が大好きだが、「県外から福岡や茅乃舎という店を見てみたいと思っていました。そのためにも、まずは店長にチャレンジしようと決めていました」と強調する。
店長になるべく、接客やレジ業務だけでなく、マネジメントが担当する売上管理や施策立案、人材育成なども自ら担い、できる仕事を増やしていった。「当社では、パートの方など、私よりも年齢が上の方も多いです。店長として現場を動かすためには、“この人に言われたらやろう”と思ってもらえる存在になりたかった。そのためには、誰よりもできる人でいる必要があると考えました」。
東北新幹線をはじめ13路線が乗り入れる同駅。1日平均数百人の来店があり、お歳暮シーズンには、その倍以上となる。店舗の外にまで、レジに並ぶ人の列ができることも珍しくない。
商業施設や自社内でも販売実績を残し、表彰の機会も多い。こう聞くと、利用客が多いからと判断しがちだが、その陰には藤さんの工夫がある。実績の“つくり方”を重視する藤さんは、「販売の仕方などは店舗への裁量が大きいため、任されている実感もあり、自分たちで考えて動けるのが面白いです」と話す。しかし、売上や目標を追うだけでは、現場もスタッフも疲弊してしまうだろう。そこで、売上目標を“楽しめる形”に落とし込んでいる。
「例えば、強化商品の販売数を、ボードを使って見える化をしたり、ゲーム要素を取り入れたり、イベントのようにすることで、皆が前向きに取り組めています」
以前は、個人で目標を追う楽しさがあったというが、今は「チームで成果を出すこと」にやりがいを感じているという。「店長になり、スタッフそれぞれにできることが違うということが見えてきました。その力をいかに組み合わせて成果を出すかを試行錯誤するのが一番面白いです」。
“駅ナカ”という立地から、来店客には時間に制約がある。しかし、商品選びに時間のかかるギフト需要も多い。それに対し、店舗では、短時間で的確にニーズを把握する接客を行う必要がある。この状況でも、藤さんは提案よりもヒアリングを大切にする。「いきなりおすすめはしません。まずは“どなたに贈るのか”“予算はいくらか”などを伺い、選択肢を絞っていきます」。
顧客の視線や動きも重要な手がかりになる。
「商品をじっと見ている方にはお声がけをしますし、迷っている様子ならば、そこから会話を広げていきます」
こうした接客の積み重ねについても、社内からの評価が高い。目指すのは、「“ありがとう”と言っていただける数を増やすことです。その思いで、日々の接客に向き合っています」。
藤さんの、最大の関心ごとは店舗の組織づくりだという。
「目指しているのは、“店長がいなくても回る店”です」。そのために、業務や判断を積極的にスタッフへ委ねる。雇用形態にかかわらず、皆に方針を共有し、誰もが同じ方向を向くよう働きかけている。「目標や目的は、全員にきちんと伝えます。なぜやるのかを理解してもらうことで、自発的に動いてもらえるようになります」。
スタッフ同士の関係性づくりにも取り組む。「お客様から“ありがとう”をいただくだけでなく、スタッフ間でも感謝を伝え合うことを積極的に行っています。それだけでも、店舗の雰囲気が変わります」。
かつては個人で成果を出すことにやりがいを感じていた藤さん。しかし今は、組織として成果を出すことに価値を見出し、「にぎわう店は、人でできていると思います」と実感を込める。
近い将来、商品開発や新ブランドの立ち上げにも挑戦したいと語る。「でもまずは、この店舗をもっと強くしたい。誰がいても“ありがとう”のあふれる店にしたいです」。
店長としての藤さんの挑戦は、もう少し続きそうだ。

会員限定2026年05月20日 00時00分 公開
2026年05月20日 00時00分 更新
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