NiCEの日本法人であるナイスジャパン(東京都港区、オリビエ・ジオレット社長)は、東京・白金台の八芳園で「AI-First CX World Tour 2026 Tokyo」を開催した。「Agentic(エージェント型) AIの今、CXの未来」をテーマに、エージェント型AIの導入動向や本格展開に向けたロードマップ、導入事例などが示された。
冒頭は、ジオレット氏が登壇して挨拶の言葉を述べるとともに、カスタマーサービスを取り巻く課題として、労働力不足、顧客期待の高まり、台風や交通機関の乱れや新製品発売などに伴う予測困難な問い合わせ増加を挙げた。そのうえで、今後のCX創出には、問い合わせに応答するだけでなく、AIが顧客ジャーニー全体を支援する仕組みが重要になると説明。ジオレット氏は、「今後1年から1年半の間に、エージェント型AIを取り入れた企業が、日本における新しいCX基準を定義することになる」と強調した。
続くセッションは、2025年に買収したドイツのAIスタートアップ、Cognigyの経営層で、現在NiCEのAI領域を担うフィリップ・ヘルツヴィヒ氏、タイス・ワンダース氏の2氏が登壇した。
NiCE 最高AI責任者のヘルツヴィヒ氏は、「エージェント型AIの最前線~リーダーたちが語る、実践と成果~」と題して、技術的な最新動向とともに、AIエージェントが顧客の「代理人」として企業にアクセスするケースも増える可能性を指摘。企業側にはAIエージェント同士の連携や、既存システムとの接続を前提とした対応基盤が求められるとの見方を示した。さらに、AIエージェント、人間のオペレータ、AIコパイロット(業務支援機能)が共通のデータ、ナレッジ、ワークフローを活用する「エージェント型運用レイヤー」の考え方を紹介。「これらの組み合わせが新たな体験を生み出す」(ヘルツヴィヒ氏)と述べ、人とAIの協働を前提とした運用設計の重要性を強調した。
NiCE 最高AI責任者のフィリップ・ヘルツヴィヒ氏

NiCE エージェント型AI担当 バイスプレジデントのワンダース氏は、「ビジョンから実装へ:エンタープライズ企業がCXにエージェント型AIを定着させるための実践アプローチ」をテーマに、グローバルでの導入実績に基づいた実践アプローチを紹介した。また、エージェント型運用レイヤーの一翼を担う会話型AI・エージェント型AIプラットフォーム『NICE Cognigy』の提供価値を説明するとともに、デモンストレーションを実施した。具体的には、Webサイト上で顧客がAIエージェントと音声対話(Web-RTC:Web Real-Time Communicationを活用)しながら、保険プランの提案、約款確認、署名、承認まで進める流れを紹介。音声通話の自動応答をしながら、会話内容に応じてWeb画面が更新されていくという、マルチモーダルな対応を特徴として説明した。このほか、航空会社の欠航時におけるプロアクティブ対応を想定したデモも実施してみせた。
NiCE エージェント型AI担当 バイスプレジデントのタイス・ワンダース氏

実装プロジェクトの進め方にも言及した。大規模な全社展開を最初から目指すのではなく、効果を測定しやすいスモールスタートを推奨。ビジネス価値を測定できるテーマを選び、関係部門を巻き込みながら短期間で試作、検証、改善を繰り返すことが重要だとした。さらに、平均処理時間、自己解決率、顧客満足度などのKPIを設定したうえで取り組む必要性も示した。「何か新しいことをするためだけにAIプロジェクトを始めるのではなく、実際の影響を測定できることが重要だ」(ワンダース氏)。
このほか、IDC Japanシニアリサーチディレクター、AI and Automationの眞鍋 敬氏によるセッション「AI利用の目標変化に備える:ビジネス体制強靭化へのAI利用」も実施された。
2026年05月08日 10時00分 公開
2026年05月08日 10時00分 更新