ソリューション
VOCを“全社資産”に引き上げる
「データの一元化」「分類の自動化」の成果
──ナビタイムジャパン
ナビゲーションサービス「NAVITIME」を提供するナビタイムジャパンでは、顧客の声(VOC)の収集や活用を開発部門が中心となって担う。VOCをサービスの向上につなげ、迅速な改善サイクルを生み出している。約10年をかけてその仕組みを進化させ、全社で共有し、活用できる基盤へと昇華してきた。従来の役割分担を見直し、VOCを“全社資産”へと変革した取り組みの背景と狙いを探る。
進学や就職、異動など、新生活を迎えるこの季節は人々の移動も増える。
不慣れな土地での通勤や通学での移動に、ルートの検索ができるナビゲーションサービスは強い味方となり、移動に欠かせない存在だろう。生活インフラを担うともいえるサービスでは、顧客の声(VOC)をいかに迅速に捉え、改善へとつなげるかが、ユーザーの利用促進を左右する要素になっている。
多様な移動手段を組み合わせた最適なルートを検索できる総合ナビゲーションサービス「NAVITIME」を提供するナビタイムジャパンでは、VOCの扱い方を大幅に見直し、従来の方式と一線を画した体制を構築してきた。
VOCの収集や整理はカスタマーサポート部門が担い、各担当部門へ共有する事例が多い。しかし同社では、約10年をかけ、開発部門がVOCの収集から活用基盤の構築まで担う体制を確立した。
その第一歩が、ユーザーからの意見を取り入れる「ご意見箱」と、操作方法などの質問を受け入れる「お問い合わせ」の2つの窓口を切り分け(図)、それぞれの役割を再定義したことだった。

NAVITIMEなどのアプリ内に設けた「ご意見箱」では、機能要望や使い勝手に関する改善提案、不具合の報告などを受け付ける。これらを開発部が直に受け取り、サービスの改善に活用する。「お問い合わせ」では、“ログインできない”“課金や契約に関する相談”など、ユーザーの困りごとを解決するための窓口をカスタマーサポートが担う。こうした役割分担により、“開発は改善”“サポートは解決”と、各々が担当分野に集中できる状況を実現している。
もっとも、この仕組みを構築するまでには、試行錯誤の連続だったという。
プロジェクトを主導した、開発部VOC分析プロジェクトマネージャーの大橋章吾氏は「当初はカスタマーサポートがすべての問い合わせをメールで受け付け、内容を整理して開発部へ送っていました。そして、開発部で対応した内容を、再びサポート部がユーザーへ返信していましたが、その過程でニュアンスのズレや、対応までのタイムラグが生じることが課題でした」と振り返る。
さらに、ご意見箱は、「乗換」「ドライブ」「自転車」などのアプリごとにも設けられており、担当の開発チームが個別にVOCデータを管理していた。データは蓄積されるが、横断的な活用や知見の共有にはつながりにくい状況だった。さらに、ユーザーへの返信機能も十分ではなく、「声を受け取るだけにとどまっていた」(大橋氏)ことも、体制を変革する要因となった。
こうした状況を打破しようと、大橋氏ら開発部VOC分析チームがVOC管理の再設計に着手した。

注目すべきは、課題を解決する行動が、開発部のエンジニアたちの問題意識から生まれた点だ。同部部長の後藤晃一氏は、「当社は全社的に、VOCを重視する機運があります。展示会やイベントにエンジニアが参加し、実際のユーザーから意見を聞くのはもちろん、タクシー乗務員さんが休憩する場へ足を運び、ヒアリングするなどもしています。『ユーザーの声を直接、もっと知りたい』『自分たちで改善につなげたい』といった思いが、仕組みそのものを変える原動力になりました」と説明する。社員の大半をエンジニアが占める同社ならではの文化が、深度のあるVOC活用を支えているのだろう。
転機となったのは2018年。
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2026年04月20日 00時00分 更新
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