
生成AIの社会実装の推進を目的に設立された一般社団法人、「Generative AI Japan」。最大の特徴は、ITベンダーなどの提供側だけでなく「使う側」である事業会社が多くを占める点だ。業務執行理事/事務局長の國吉啓介氏に、ハルシネーション対策やCX向上のための活用、そしてAIエージェントについて聞いた。
──「Generative AI Japan(以下GenAI)」の設立背景を教えてください。
國吉 2024年1月の設立当時、生成AIはすでにツールとしては使われていましたが、社会実装していくためには専門的なスキルを持った人材、企業における活用ノウハウの共有が不足していました。この課題解消には時間を要すると考えたさまざまな関係者が集まり、業界横断でユースケースをもとに議論する場が必要だと意識を共有。とくに事業会社が中心となり、実務視点で知見を持ち寄れるコミュニティを目指して設立しました。
──ベネッセコーポレーションが中心的役割を果たした理由は。
國吉 ベネッセには「よく生きる」という企業理念があり、変化を楽しむ社風や文化があります。子どもに価値ある学びを届けるには、大人自身がワクワクを感じて創造する姿、学び続ける姿を示すという想いがGenAI設立につながっています。共同発起人のウルシステムズの漆原 茂会長はエンジニアのキャリア、人材育成の領域を課題と考えておられ、代表理事の慶應義塾大学の宮田裕章氏の科学を駆使して社会変革に挑戦し、現実をよりよくするための貢献を進めるという方向性が合致し、三者が中心となり立ち上げました。現在は70社以上が参画、ロールモデルの共有を進めています。
──コンタクトセンターは、生成AI導入の目的が生産性や人手不足対策に寄っている印象です。カスタマーエクスペリエンス(CX)観点での活用について現状をどう捉えていますか。
國吉 CXの観点で重要になるのは、個別対応の進化によるユーザー体験の向上です。すでに実用化されている事例は存在します。例えば相談対応にAIを導入してパーソナライゼーションを実現しているのが、トラストバンクが運営する「ふるさとチョイス」です。モバイルアプリ向けに自然なやり取りを通じてパーソナライズされた返礼品を提案するチャット型のリコメンド機能『チョイスAI』をAI開発企業のRecursiveとともに開発しました。寄付者の利便性向上と、ふるさと納税の利用継続率向上が期待されています。また、海外ではすでに旅行プラン作成や小売業でのリコメンドサービスも導入が進んでいます。従来のチャットボットは、手続き型・処理型が中心でしたが、少しずつパーソナライゼーションを重視した相談型・コンシェルジュ型の対応への進化が見受けられます。
会員限定2025年09月20日 00時00分 公開
2025年09月20日 00時00分 更新