ビーウィズ 飯島 健二 氏

2025年7月号 <キーパーソン>

“コールセンターBPO”の殻を打ち破る!
『Omnia LINK』核にITの強み訴求

ビーウィズは、2000年の設立以来、コールセンター向けBPOベンダーとして事業展開。2010年代には独自のクラウド型コンタクトセンターシステム『Omnia LINK』を開発、2017年に外販を開始しITベンダー色も強めている。今後のビジネス展開について、今年3月に社長に就任した飯島健二氏に聞いた。

飯島 健二 氏
ビーウィズ
代表取締役社長
飯島 健二
Iijima Kenji
PROFILE
2002年6月、ビーウィズ入社。SVからキャリアをスタート。09年10月、経営企画部担当部長。16年6月、取締役執行役員経営企画部長。18年11月、取締役副社長執行役員 営業機能/コーポレート機能担当。25年3月、代表取締役社長 就任。

──ビジネス概況を教えて下さい。

飯島 決算期は5月ですが、24年度はコロナ特需の反動もあり、減収減益の予定です。これでコロナ関連の影響は全部精算し、今期はプラスに転換すると考えています。

──現在のコールセンターBPO市場をどう見ていますか。

飯島 国内消費の減少に伴う問い合わせの減少により、ニーズは縮小傾向です。このままでは、2035年には1兆円~8000億円程度の市場規模になると見ています。生き残るには競合他社といかに差別化を図っていくかが重要。その切り札となるのが、2017年に提供開始したクラウド型コンタクトセンターシステム『Omnia LINK(オムニアリンク)』です。コールセンター事業者である当社の現場ノウハウから生まれたシステムで、オムニチャネル対応や音声認識によるオペレータ/SV支援機能など、多彩な機能を搭載しています。

──ITを軸としたプラットフォームビジネスへの転換ですね。

飯島 当社はかつて一時、事業が伸び悩んだ時期があります。今でこそ300億円超の売上規模ですが、当時は100億円水準が続き、業界でもなかなか特徴を出せませんでした。そこで差別化要素として生まれたのがオムニアリンクです。もともとは社内でオンプレミス製品を利用していましたが運用費が高くて収益を圧迫、それなら内製化しようと考えました。さらに同じような悩みを抱える企業が多いことから、外販に踏み出しています。

──反響はいかがですか?

飯島 100席以上の中〜大規模センターで好評です。売上規模はまだ10億円程度ですが、30億円までは実現すると見ています。また、BPO事業と比べて利幅が大きいため、トップラインへの影響は少なくても、利益貢献には期待できます。

──営業体制は?

飯島 BPO事業の営業とは別に、オムニアリンクの担当営業を約20名揃え、お客様と直接やり取りしています。この他に、インサイドセールスやマーケティングの担当が営業を支えています。また、運用支援では保守サポートのスタッフも多く備えています。オムニアリンクは業種業態の区別なくご利用いただけますが、現在は金融業界を中心に営業を行っており、とくに日本郵政グループは大きなお客様です。また、海外進出も視野に入れています。

「AI時代のSV」を育てる

──近年は競合他社(BPOベンダー)もITプラットフォームビジネスに進出しています。

飯島 先駆者としての強みを出していきたいですね。機能強化も図っており、例えば生成AIを活用したAIオペレータを現在、開発中です。これはPBX上でAIが顧客対応を行い、問題解決が難しい場合は有人オペレータに代わります。さらにオペレータはAIが提示するナレッジを活用して対応する。人とAIが相互サポートするイメージです。また、競合となるのは、コールセンターBPOよりもコミュニケーションプラットフォームを提供するITベンダーだと考えています。実際、コンペになることが多い。そこでは、運用を知るBPOベンダーとしての知見やノウハウが強みになります。

──最後に新社長として抱負を。

飯島 BPO市場はもとより、IT市場を攻めます。「BPOだけの企業ではない」という印象を強めたい。もちろん、BPO市場に対しても攻めの姿勢は崩しません。このカギを握るのは人材です。今後は、とくにSVの存在価値が高まると予測しています。クライアント企業の競争力をより加速させるために、システムと人を使って何ができるかをクリエイトすることが求められ、そのキーマンとなるのがSVです。そこで4月1日より「オペレーション本部」を「クリエーション本部」に改称し、SVに、より創造性をもって業務にあたるよう指示しています。これに先立ち、DXに必要な知識を体系立てて教える「ビーウィズ2.0研修」を2年前より開始し、のべ2000名のSVが受講しています。こうした取り組みを通じてSVのリスキリングを行い、「AI時代のSV」を育成していきます。

2025年06月20日 00時00分 公開

2025年06月20日 00時00分 更新

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