Zendesk(東京都中央区、冨永 健社長)は、米本社CTOのAdrian McDermott(エイドリアン・マクダーモット)氏を交えたラウンドテーブルを開催。市場での位置づけとともに、カスタマーサービスソリューション『Zendesk』の新機能を発表した。
冒頭、冨永社長は、生成AIの登場を背景としたビジネス変革のスピードの加速を指摘し、それを追い風要因としてビジネスが拡大基調にあることを明かした。日本法人は立ち上げから約12年で3000超の企業に導入しており、グローバル全体のなかでも日本は急成長している市場の1つに数えられることに言及。2024年7月に大阪にデータセンターを開設したことを挙げ、こうした大規模な投資が引き続き行われることを示した。「ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)を2025年に取得予定です。今後は、セキュリティ要件が厳格な金融業や公共のコンタクトセンターにも販路を広げていく考えです」(冨永氏)。さらに、SI会社などパートナーへの支援体制も整備・強化していく方針も明らかにした。
続いて、McDermott氏は市場背景とともに最新のAI機能を紹介した。生成AIの登場によって、カスタマーサービスは飛躍的な進化を遂げているさなかにあり、チャネルや言語にかかわらず、顧客対応の低コスト化を実現している。一方、その提供品質については、日本の消費者、あるいは現場の期待はさほど高くないのが現状だ。同社が実施した調査では、AIチャットボットによる応対は、質の高いオペレータと「同水準」という回答が67%を占めた一方、「AIチャットボットのほうが優れている」という回答は12%にとどまった。McDermott氏は、「日本市場に限らず、AIの提供品質を高めCX向上を図ることが重要です」と強調。オペレータをはじめ、現場とAIが効果的に連携することでCXの最大化が図れる新機能として、「Omnichannel AI Agent」「Agent Copilot」「AI-Powered Insights」を紹介した。
Omnichannel AI Agentは、オムニチャネル対応のAIボット。McDermott氏によると、「最もイノベーションの大きいもの」で、RAG(Retrieval-Augmented Generation)ベースを採用し、問い合わせ全体の20%~60%を自動化可能という。また、AIエージェントビルダーにより、トレーニング(事前学習)なしで、業種、ブランドに合わせたトーンの言葉で応対するなど、カスタマイズしたボットを短期構築できる。
Agent Copilotは、オペレータの顧客対応を支援するもの。問い合わせ内容から顧客ニーズを予測しオペレータに推奨事項を提示、自律的にアクションを実行したり、過去の類似チケット(問い合わせ)などの情報をオペレータのワークスペースに自動で表示する機能を備える。これに加え、2025年上半期中に音声通話エージェントCopilotをリリース予定。デジタルチャネル、自動応答の普及によって高度化・複雑化する電話応対においても、ナレッジの提示などによる支援を行うことが可能になる。
AI-Powered Insightsは、管理者向けの機能だ。応対やチケット情報などシステムに蓄積されたあらゆるデータをもとに、VOC分析やQA(品質管理)活動を支援する。
McDermott氏は、「毎年、平均してオペレータの50%が離職しており、新規採用・教育がクリティカルな問題になっています。AIによる自動化、支援、分析によって、教育時間の短縮と応対品質向上の両方に貢献したい」と述べる。各AI機能は、アドオンで従量課金制。
2024年11月08日 11時00分 公開
2024年11月08日 11時00分 更新