エヴリック
オペレータの教育プログラムはあっても、SV教育を体系化できているセンターは非常に少ない。SVはオペレータより採用人数が限られ、育成はOJTが中心となりがちだ。しかし、SV教育をおろそかにすれば、今後のセンター運営に大きなリスクをもたらす。SVの主な業務はオペレータの指導、フォロー。SVの力量不足は、オペレータの不安に直結する。SVになりたての社員を計画的に育成するカリキュラムが整っていなければ、オペレータの早期離職をもたらすだけではなく、十分に力を発揮できず自信を失ったSVまで退職してしまう恐れがある。
一般的にSVに必要なスキルは、オペレータ指導やクレーム対応など、どのコールセンターでも求められる汎用性の高い素養が多い。そこでエヴリック代表の岸川 茂氏は、大手BPO企業で人材育成の責任者を担った経験をもとに、SVの汎用スキルを育む人材育成支援システム「OJTコンパス」を開発した。
OJTコンパスは、「目標の設定」から「eラーニングの視聴」「確認テストの実施」「実践課題・振り返り」「取り組みへのフィードバック」までの一連のプロセスを、経験学習を軸として進めることができるツールとなっている。具体的には、KPI管理やオペレータのタイプ別コミュニケーション、コーチング、フィードバックなど、SVに必要な知識・ノウハウを学習できる動画をプリセットしている。動画は1本あたり10分程度で、OJT期間のスキマ時間に効率良く学習可能。研修の進捗状況をオンタイムで把握できるよう、カリキュラム受講後のセルフチェックレポートによる振り返りや、1on1面談で話した内容を記録する仕組みも取り入れている。
導入企業からは、「スキルを可視化することで、指導基準のすり合わせができる」といった声が挙がり、効率の良いSV育成実現につながっている。「育成は知識のインプットとアウトプットのバランスが大事ですが、インプットはある程度、eラーニングなどで効率化できます。OJTコンパス活用によって生まれたゆとりで、1on1などのアウトプットに多く時間を費やせるでしょう」(岸川氏)
「コールセンターの価値はSVで決まる」と岸川氏は強調する。「SVが、オペレータの接し方の『引き出し』をたくさん知っているだけでも、センターの雰囲気は良くなり、応対品質にも好影響をもたらすはずです」(岸川氏)。同社は研修マネジメントなどコンサルティング事業を主体とする傍ら、岸川氏自身が人材育成に携わってきた経験に根ざした独自のeラーニング事業を訴求。SVの力量は今後のセンターの運営を左右するほど責任は重大、それに見合った教育体制の充実が不可欠だ。
2024年09月20日 00時00分 公開
2024年09月20日 00時00分 更新