富士通(神奈川県川崎市中原区、時田隆仁代表取締役社長)は2024年7月、企業向けAIの開発実績があるカナダCohere社と共同で、企業向けの大規模言語モデル(LLM)の開発およびサービス提供に向けた戦略的パートナーシップを締結した。あわせて、富士通はCohereに出資も行っている。
両社は、CohereのLLMをベースにした日本語強化版LLM「Takane」(仮称)(高嶺:タカネ)を共同開発する。富士通は、セキュリティを確保することで、プライベート環境で社内データを利活用できるLLMとして、2024年9月にAIサービス「Fujitsu Kozuchi」から「Takane」を提供開始予定。今後は、クラウドベースのオールインワンオペレーションプラットフォーム「Fujitsu Data Intelligence PaaS」や事業モデル「Fujitsu Uvance」を通じて提供する予定だ。
Takaneの主な特徴は、ハルシネーションを軽減するRAGの性能を引き出せる点。多言語対応で、Cohereの最新LLM「Command R+」をベースに、富士通が持つ日本語に特化した追加学習技術やファインチューニング技術を組み合わせて開発した。
Cohereは、LLMを企業でセキュアに活用するための共同開発で強みを持つ。企業向けLLMのほか、LLMを利用する際に企業データを適切に参照させるEmbedと呼ばれる埋め込み表現を生成するモデルや、RAG技術「Rramk」を保有。
一方、富士通は企業の多様で大規模なデータをナレッジグラフに変換して、LLMに参照させるナレッジグラフ拡張RAGと、企業や法令などの規則に準拠した生成AIを実現する生成AI監査技術を開発。
両社の技術を統合することで、企業の持つ大量のデータを十分に活用した生成AIによる新たな価値提供と、それによる事業の成長支援が可能になるとしている。
2024年07月17日 17時50分 公開
2024年07月17日 17時50分 更新